「農民」記事データベース20060717-740-15

いま注目される

人と自然にやさしい米 コウノトリの舞
(豊岡市認定)

兵庫 豊岡エコファーマーズ


エサ場の水田復元のため

米ぬか・くず豆で除草
農薬に頼らずに米作り

 国の特別天然記念物、コウノトリの生息地として知られた兵庫県豊岡市。市が進めるコウノトリの復元をめざす取り組みのなかで生まれた当地の米「コウノトリの舞」は、人と自然にやさしい米として、注目されています。

 兵庫県の北部、日本海に面した豊岡市ではかつて、コウノトリが飛来し、水田などで人と共生する姿があちこちで見られました。農薬・化学肥料の大量使用で、田んぼからフナ、ドジョウ、カエルが次々と消え、それをえさにするコウノトリも、今から三十年ほど前に、この地から絶滅しました。

 豊岡では、十五年ほど前から、一度姿を消したコウノトリの野生復帰をめざす取り組みが始まり、人と環境にやさしい栽培方法で生産している団体を「コウノトリの舞」農産物生産団体として認定する制度が創設されました。

 同生産団体の一つに認定された「豊岡エコファーマーズ」(五人)は、コウノトリのえさ場となる水田環境復元のため、有機質肥料を施し、米ぬか・くず豆による除草など化学肥料や農薬に頼らない米作りに努めています。豊岡エコファーマーズ所属で、農民連会員の田中定さん(48)は「地域の農民連としても、農業は自然と共生し、自然環境の一部という観点で取り組んできました」と振り返ります。

 田中さんらは、昔から、農薬・化学肥料を極力抑える栽培法に加え、田んぼを乾かすために行う水抜きを、オタマジャクシが干上がって全滅しないように、カエルに育った後に行う「中干し延期」や、ドジョウやフナが生き延びられるよう、冬場も田んぼに水を張り続ける「冬季湛(たん)水」を実施。こうした農家やグループが集まって、「コウノトリ育(はぐく)むお米生産部会」(事務局・JAたじま)を設立し、但馬産コシヒカリで安全・安心な環境作り、おいしい米作りに励んでいます。

 田中さんは「いろいろな技術に挑戦し、仲間作りをしながら、地域全体にこの農法を広げ、コウノトリの再生をめざしたい」と展望します。

(新聞「農民」2006.7.17付)
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2006年7月

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