旬の味
先日、渋谷黎子さんの古里、福島で農民連全国研究交流集会が開かれた▼その名を知る人は少ないが、七十数年前、「土地を働く農民へ」とたたかった埼玉の農民組織、全農全会派の委員長、渋谷定輔さんの妻だ。定輔さんは「農民哀史」「野良に叫ぶ」などで知られる小説家でもある▼黎子さん(旧名・ウメ)は福島の地主の娘として生まれ、何不自由なく暮らしていたが、全農全会派の時局講演会に参加し、小作農民の悲惨な生活に胸を打たれ、運動の支援を決意して単身上京。その後、浦和に住み、平凡社に勤めながら物心両面で農民運動を支援するなかで定輔さんと結婚した。そして続発する小作争議をたたかい、全農埼玉県連の初代婦人部長に。寝食を忘れたオルグぶりはそのりりしさとともに語り継がれている▼しかし侵略戦争の露払いとして成立した治安維持法で逮捕され、激しい拷問がもとでわずか二十五年の生涯を閉じる。この時の奮闘ぶりを、定輔さんが「この風の音を聞かないか」という本にまとめている。 (慎)
(新聞「農民」2006.7.10付)
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[2006年7月]
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