「農民」記事データベース20060710-739-06

直売所づくり計画進む

町ぐるみ“元気な横芝光町農業”

千葉地産地消宣言・振興条例制定へ

関連/農業を元気にするのは当然

 千葉県横芝光町の佐藤晴彦町長は、六月議会で「地産地消・食育推進宣言」をあげると表明しました。同町は今年三月、旧横芝町と旧光町が合併して誕生した新町。町内を通る高速道路の終着点に直売所を建てる計画も進んでいます。九十九里浜に面し、豊かな自然に恵まれ、水稲とともにネギ、トウモロコシなど野菜の栽培も盛んな同町で、基幹産業である農業を町ぐるみで振興するとりくみが始まっています。


これからは農家の助け合い

 衰えぬ営農意欲

 「宣言」は、旧両町の農業委員会が合併前からとりくんできた「元気な横芝光町農業をめざす」アンケートを踏まえ、合併後の農業委員会が建議したものです。

 町内の農家のおよそ六割、千三百六十人から寄せられたアンケートでは農業経営の現状について過半数が「不安を持っている」と回答。その理由には、「輸入による農産物の安値安定」「米価安と生産調整でダブルパンチ」「米価は安く、機械は高い」などと、経営困難の要因がズバリ指摘されていました。

 その一方で、お年寄りに要望を聞いたところ、「軽量野菜などの産地化を図るべき」「自家用野菜や果樹などを栽培し暮らしを豊かにしたい」といった答えが上位を占め、営農意欲が衰えていないことがうかがえます。

 また、政策的な要望では、「貿易拡大政策を見直し、食糧主権を守るべきだ」「続けたい人はみんな地域農業の守り手として育成すべきだ」「労働者の最低賃金並みの労賃を保障する米価を望みたい」との回答が、各項目の一位になりました。

 現状打開の方針

 こうした結果を踏まえて、同町農業委員会は五月十日、「現状打開の方針と課題」を確認。それは、(1)農民の汗に報いる生産条件を求めて建議や意見書の提出、要望を積極的に行う(2)「地産地消・食育推進宣言」を建議する(3)農業振興条例制定の建議(4)後継者育成と配偶者対策の推進(5)全町民との協働を進め、「元気な横芝光町農業」を目指す―という五項目です。

 農業委員会の伊藤征彦会長はこう語ります。

 「アンケートに寄せられた声は、農家の本当の気持ちです。偉い人が机の上で考えて農政をやるのではなく、こうした声に応えてやるべきです。これからは農家の助け合いが欠かせません。それと同時に、地産地消は農家を元気にし、消費者の農業への理解を広げることにもなるでしょう」

 横芝光町の農地の七五%は水田です。同町の広くて平たんな田んぼは豊かな実りをもたらす一方で、地下水位が高く、麦や大豆などの栽培には向きません。それだけに農家は減反に苦労し、減反しながら米を輸入する農政に厳しい目を向けてきました。こうしたなかで旧光町は、週五日の米飯給食をすべて地元産米でまかなってきました。

 町の役割重要に

 新町がいま進めている地産地消のとりくみは、町をあげた直売所づくりです。千葉市から延びる千葉東金道路のインターチェンジのそばに、五年をめどに「道の駅」規模の直売所を建設、それまでに「チャレンジハウス」と名付けた直売所兼加工所を建てる計画です。

 直売所の予定地を案内してくれた同町議で農業委員の越川洋一さん(房総食料センター顧問)は、直売所をつくる勉強会にも加わっています。「地方切り捨て、農業切り捨ての小泉政治のもとで、農林漁業を振興し、地域の活力を守る自治体の役割はますます重要になっていると思います。住民と行政が力を合わせ、元気な横芝光町をつくっていきたい」と語っています。


農業を元気にするのは当然

佐藤晴彦・横芝光町長の話

 私は農家の生まれではありませんが、この町に生まれ、四十九年間暮らしてきて、農業を元気にするのは当然だと思っています。これからの日本を考えると食料自給率の向上は国力の維持という観点から欠かせません。

 これから元気な横芝光町をめざして、いろいろな町づくりを模索していこうと思っています。例えば東京の学生に農業体験をしてもらい、横芝光大使の認定をするとか。都会との交流を通して、農村のよさを再発見していきたいと思います。

 とりあえず食べるだけなら外国産でもいいということになるのかもしれませんが、旬の野菜や新米のおいしさは絶品です。本物の味を知ってほしいですね。

(新聞「農民」2006.7.10付)
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2006年7月

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