全国研究交流集会
分科会
〈品目横断対策〉
異議・不安多い、欠陥の告発も
若者不在でも集落営農きちんと
品目横断的経営安定対策の分科会は二つに分かれて実施されました。全国各地の動きや現状が報告され、地域農業をどう守っていくのか、そのなかで農民連がどういう役割を果たすのかなど、今後の方向について交流しました。
コーディネーターを務めた白石淳一・農民連副会長は、北海道での公聴会で、他の公述人すべてから対策にたいする異議・異論が出されたことを紹介。「対策にのれる農家は将来にわたって皆無との県の説明があった」(神奈川)、「六〇%の農家しか対象とみていない」(長野)との制度の欠陥を告発する発言や、「いい知恵があれば教えてほしいと、町長が農民連の総会でのべた」(岡山)など、対策への不安の広がりが報告されました。
そのうえで「中越地震でいち早く復興している地域では、集落営農をきちんとやっている。若者がいなくても、定年退職者の力を借り、地域にあった農業を実践している」(新潟)、「県内産の麦を使って、うどんやまんじゅうづくりを行い、直売・加工の道を模索している」(埼玉)など、各地の進んだ経験が生き生きと話されました。
〈準産直米の販路拡大〉
生産費保障の契約栽培広く
運動・事業を両輪に取り組む
「米や多様な作物の生産を広げ、『準産直米』など販路拡大の運動」をテーマにした分科会。農民連ふるさとネットワークの森谷精事務局次長は、品目横断対策の実施に伴う激動が予想される中、「運動と事業を両輪にして準産直米の取り組みを広げていきたい」と強調しました。
福島県連の佐々木健洋さんは、ポジティブリスト制との関連で米の栽培履歴づくりに取り組むとともに、「県に対して検査補助を要求したい」。
ほくほく産直秋田の須磨チヤ子さんは、卸を通じてレストランチェーン店との契約栽培に取り組んだ一年間を振り返って「再生産できる米価で五年間契約し、組合員も五人増えた。運動と事業の両輪とはこういうことか」と報告。ふるさとネットワークの横山昭三事務局長は、「こうした生産費を保障する契約栽培の取り組みを広げていきたい」とコメントしました。
また、福島県連の阿部哲也さんは、「果物の価格も低迷が続くが、新婦人の協力も受けて、“平和のフルーツ”セットとして届け、盛り返している」と報告しました。
〈要求運動と組織づくり〉
多様な要求に目向け一緒に実現
組織拡大に命を燃やそう
「要求運動と組織づくり」の分科会では、先進的な活動が紹介されるとともに、悩みも率直に出され、前進の方向が話し合われました。
奈良県連は今年に入って六十人を超える新会員を迎えています。税金や産直、固定資産税、農業労災など多様な要求に目を向け、九万枚のチラシを配り、二百数十回開いた相談会には百五十人以上の非組合員が参加。週一回の事務局会議を軸に運動を進めました。「相談会に来た人には必ず次の約束をとり、最後までフォローする。農家のつぶやきから要求を見つけ、一緒に実現することが大事」と報告しました。
また、「一定規模の組織になったが、これ以上増えない」「財政問題で四苦八苦している」といった悩みに対して、「誰でも“ヨシッ”と思える二万円米価を求める署名にとりくんでいる」(千葉)、「組合費を集めることは組合員の心を集めることだという気持ちでいる」(山形・庄内)などの発言も。村尻勝信常任委員は、「仲間をなぜ増やすのか、どうやって増やすのか、ストンと落ちる集まりが重要だ」と強調。「組織を増やすことに命を燃やして拡大の先頭に立とう」と訴えました。
(新聞「農民」2006.7.10付)
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