「農民」記事データベース20060626-737-13

旬の味


 昼夜、牛たちの放牧が始まった。例年なら一雨降るたびに暖かくなるはずが、今年は雨の降る夜はカゼを引きはしないかと心配なほど寒さを感じる▼この時期は、遠くの山がきれいに見えても、しばし仕事の手を休めて眺めたくなるほどの夕焼けであっても、明日も晴れるとは限らない。昔からの言い伝えで、カッコウの鳴き声を確認し、家庭菜園の種まきに精を出す▼植樹や移植など、やるべきことは山積みだが、天候不順と外出が重なり、頭の中と行動が伴わない。そんな心中ながら、新規就農して三年目の若い夫妻が放牧している牛たちと牛飼い仲間に会いに、少し遠出をした▼その中で、小さな男の子の振る舞いに目が行った。いつの間にか片手に山菜を抱えていた母親の傍らで、男の子も山菜を採り始めたのだ。自然に身についた行動にたくましさを感じた▼この集まりには就農希望の学生も参加しており、日本農業の行く末に、少し明るい光が見えた気がする。次の世代に農業の持つ普遍的な役割を伝えなくては。

(江)

(新聞「農民」2006.6.26付)
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2006年6月

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