映画「恋するトマト」農業と恋に情熱を傾ける後継者
危機に瀕した日本農業映し出すいま上映中の映画「恋するトマト」が、話題を呼んでいます。茨城・筑波山麓、霞ケ浦近くの農家に長男として生まれ、年老いた両親と稲作やスイカづくりに励む四十五歳の独身農業者が主人公。茨城とフィリピンを舞台に、主人公の正男は、なんとか結婚相手を得ようとついにフィリピンへ…。俳優・大地康雄さんが、主人公を演じるほか、企画・脚本・製作総監督まで一人四役をつとめています。 フィリピンへ渡った正男を待っていたのは、結婚詐欺。スッカラカンになってしまった正男は、フィリピン女性を“芸能スカウト”するやくざな仕事に身を落としますが、「大切なものは土と水と太陽。農業が好き」と言うフィリピン女性・クリスティナとの出会いを通じて、もう一度、農業に取り組もうとするのでした。そしてフィリピンでは栽培が困難という大玉トマトに挑戦しながら、クリスティナへの想いを募らせるのですが…。 大地さんがこの映画の企画をスタートさせたのは、十三年前。フィリピンが大好きになり、作家の小檜山博さんと出会い、農家の長男であるというだけで嫁探しに苦労する話を軸に、危機に瀕(ひん)した日本の農業・農家の問題を提起する映画が作れないかと考えたそうです。 映画は、大地さんの熱演やフィリピンの人たちの温かさに心打たれますが、「なんでおれを農家の長男に生んだんだ」と両親に叫ぶ正男の気持ちが、自民党農政のもとで苦しむ日本農業の現状を映し出し、胸に突き刺さります。そして正男がまた霞ケ浦のそばで農業に戻った後のさわやかなラストシーンに、一つの希望が照らし出されているようです。 現在、東京・千葉・埼玉・茨城で公開中。順次、全国で上映予定。 問い合わせは、ゼアリズエンタープライズTel03(3542)1951。
(新聞「農民」2006.6.12付)
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[2006年6月]
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