「農民」記事データベース20060605-734-06

給食をさらに和食中心に

栄養満点 残食の量も減った

関連/組合員の現場を訪ねて取り組み・苦労話聞く


ひまわり保育園

東京・品川

 「給食 だーい好き!」。東京都品川区の戸越ひまわり保育園は、昨夏から、園児たちの給食を、以前にも増してさらに和食中心の献立に切り替えました。子どもたちは、栄養満点の給食をおなかいっぱい食べています。

 「日本人の体、日本の風土に合った食べ物とはなんだろうって、勉強しているうちに、和食のよさを再認識しました」と話すのは、同園の栄養士、蒲田結衣さん。

 他園からも注目

 家庭では、パンや菓子類が多く食べられ、高カロリー、高脂質な食事が多くなっています。保育園の献立も今までは、カタカナで書かれたものがズラリ。洋食や揚げ物が目立つメニューでした。

 それを和食中心のメニューに切り替えたことで、季節を味わえる旬の食材、根菜類、豆類、小魚・海藻類などが、献立に並ぶようになりました。

 たとえば五月十八日の献立はこうです。五分つきごはん、ぎんだらの煮つけ、大根のきんぴら、華風和え、味噌汁。

 和食中心にしたことで、アレルギーのある子どもでも、みんなと同じ物を食べられるようになりました。調理中に、においをかぎつけて、「今日はなあに」と、給食に興味を示すことも。何よりも以前に比べて、残食の量がめっきり減りました。

 今でこそ他の園からも注目される給食。しかし「実際に踏み切るのは大変でした。栄養士たちの情熱が、給食を見直すきっかけになったのです」と振り返るのは、園長の神代由美子さん。「遊んだり、寝たりするエネルギーを蓄えるためにも、食事は大事。健康的なものをぜひ食べさせてと親に発信できれば」

 保育園は、親とのコミュニケーションを大切にしています。毎月発行の「給食だより」には、一カ月の献立とともに、食にまつわる話など、知って得する情報が満載。親が記入する「食事カード」に、朝と夜の食事を書いてもらい、子どもの食事の傾向をつかむのに役立ちます。

 親子で味わって…

 さらに親子で給食の味を知ってもらう「おむかえ試食会」では、親から「親がしっかりとした目でいい物を選んであげなきゃいけないなと思いました」などの感想が寄せられ、食生活を見直すきっかけになっています。

 和食に切り替えた効果がさっそくでました。油を多く使うサラダや、ケチャップ、マヨネーズやソースを多く使う洋食メニューよりも、みそ、しょうゆがベースの和食メニューの方が、相性がよく、一回に炊くご飯の量は多くなります。

 ひまわり保育園は今後、栄養士をはじめ、調理師や保育士とよく相談しながら、献立作りを進め、和食中心のメニューをさらに発展させたいと考えています。

 「季節へのこだわりをさらに進め、私たちの伝統の味を食べてもらうことで、親や子どもに食の大切さを伝えていきたい」(神代園長)。ひまわり保育園の挑戦は続きます。


組合員の現場を訪ねて取り組み・苦労話聞く

奈良県農民連女性部の総会

 奈良県農民連の女性部は毎年、組合員の現場を訪ね、楽しく元気の出る交流を心がけて総会を開いています。今年は、五條市にある金剛山の山ろく地で、食と文化をつなぐイベント「食の乱反射〜スローライフ・スローフードうまいもんあり!」に取り組んでいる組合員を訪ねました。

 総会の会場は、豚の品種や自家配合のエサにこだわり、じっくり育てた豚や手作りハム・ソーセージのレストラン「ばあくゲストハウス」です。

 まず、昔ながらの豆腐を作る「梅本とうふ店」の梅本ひろみさんから、国産大豆を使った豆腐づくりへの思いなどを聞きました。

 また女性部長の中元悦子さんが、パソコン教室で苦労しながら作成したパワーポイントを使って「WTO香港行動」を報告。泉澤チエ子さんらレストラン「ばあくゲストハウス」の皆さんが丹精込めた春の野菜などを丸ごと楽しめるおいしいランチで交流しました。

 その後、大淀町の大阿太高原へ移動。白い梨の花が咲く山口年昭さんの梨園を訪問し、梨づくりの話を聞きました。(写真〈写真はありません〉

 今回は、組合員のほかに消費者や栄養士も参加。「元気が出ました。これからの活動につなげたい」「ほかの生産者の畑を見るのは、とても勉強になります」などの感想が出され、新しい体験に元気づけられる一日でした。

(奈良県農民連女性部 森口いち代)

(新聞「農民」2006.6.5付)
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2006年6月

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