アマゾンの森林を開拓した大豆畑
ブラジルが今年輸出世界一に
利益ふやす米穀物メジャー
NHKスペシャル
「アマゾンの攻防」日・中・米の大豆 争奪戦をみて
ブラジルのアマゾン開発で一年間に東京都の十二倍という森林面積が減っている。国道163号は、四千五百キロ先の港まで大豆を運ぶ大型トラックが延々と続く。ブラジルは今年、アメリカを追い越して世界一の大豆輸出国になるだろう――。
映像は、アマゾンの広大な森林が開拓され、大豆畑が拡大していく姿を映し出しています。
十三億の人口を抱える中国で、経済成長の結果
、食肉消費が急拡大し、搾油用を中心とした大豆の消費量も一人当たり三倍に伸び、一九九六年には大豆の輸出国から輸入国に転換しています。大豆生産が頭打ちのアメリカに代わって、輸出を伸ばしてきたのがブラジルです。(別
掲グラフ参照)
〇五/〇六年には、輸入の四一%を中国が占め、輸出の三八%をブラジルが占めており、いずれも年ごとにそのシェアを高めています。
日本がODA予算を使って、官民一体で二万ヘクタールに及ぶセラード(ブラジル中西部のかん木地帯)開発に取り組んだのは一九七〇年代後半。そうして切り開かれた大規模農場の周辺には、アメリカのブンゲ、カーギルなど穀物メジャーが大型サイロを建設、生産者を(年利一三%の)前貸しで縛って大豆を集荷・輸出するほか、油を搾ったあとの大豆かすを利用したブロイラーの大規模飼育と、日本向け焼き鳥輸出にも手を広げています。
日本は、みそ・しょう油・豆腐・納豆などの日本的食生活に欠かすことのできない大豆の自給率はわずか三%で、九七%は海外からの輸入に頼っている現状です。しかも、今回の品目横断対策で、大豆交付金に支えられて生産者と消費者が共同で取り組んできた大豆畑トラストも大きく後退させられるのではないかと心配されています。中国などアジアの経済発展が食生活を変え、その結果、アマゾンの森林が消失し、地球環境を悪化させながら多国籍穀物商社が稼ぎを増やすという構図の中で、食糧主権の大切さを学びました。
(山本博史)
(新聞「農民」2006.6.5付)
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