牛肉輸入再開で日米大筋合意アメリカの説明を信用していいか
BSE危険部位の背骨が混入し、アメリカ産牛肉の輸入が停止している問題で、日米両政府は五月十七〜十九日、専門家会合を開催。輸入再開に向けた手続きを始めることで大筋合意しました。 アメリカ政府は、日本向けに牛肉輸出を認めた三十五の処理施設を点検し、マニュアルの整備や従業員の研修など、日本向けの輸出条件は守られると説明。日本政府もこれを追認しました。 しかし、アメリカの説明をうのみにして、いいのでしょうか。 第一に、アメリカ産牛肉は、日本が輸入を停止している間も、香港、台湾で骨混入の違反が四回も発覚。しかも違反企業にはアメリカ食肉業界の“トップスリー”が名を連ねており(表)、どの企業の、どこの国向けの牛肉も管理がズサンだということです。
第二は、相次ぐ違反の背景にあるアメリカ食肉業界のコンプライアンス(法令順守)の欠如。日本共産党の紙智子参院議員は、市民団体の請求で情報公開されたアメリカ食肉企業の違反記録をもとに、アメリカ国内でも違反を繰り返す食肉企業の実態を暴露し、「常習的違反企業が日本向け輸出の認定を受けている」ことを明らかにしました。 第三は、こうした食肉業界とアメリカ農務省の癒着構造です。今回、アメリカ側交渉団の代表を務めたランバート次官代理は、農務省に最も影響力を持つ食肉業界の団体でさまざまなキャリアを積んだ人物。いわば“身内”の点検結果が、どれほど信用できるのでしょうか。 日本政府は今後、輸入再開前に日本向け認定施設を査察し、アメリカ政府による抜き打ち検査にも立ち会う方針ですが、もっとも大事なことは、全頭検査や飼料規制など日本と同等のBSE対策をアメリカに求め、それが実施されない限り再開しないというき然とした態度です。
(新聞「農民」2006.6.5付)
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[2006年6月]
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