コンビニ弁当16万キロの旅って?
本 コンビニ弁当16万キロの旅食べものが世界を変えている
監修した 千葉保さんに聞く
「コンビニ弁当16万キロの旅―食べものが世界を変えている」(太郎次郎社エディタス、定価2000円+税)という本が出版されています。監修したのは、今年三月まで小学校の校長先生を務めていた千葉保さん(写真〈写真はありません〉)。千葉さんが団長のコンビニ探偵団が、コンビニ弁当の「影」の部分を白日の下にさらします。千葉さんに話を聞きました。
「コンビニ探偵団」が調査“影”の部分を白日の下に
「小学生の高学年から、高校生・大学生、生協のみなさんにも読まれています」というとおり、漢字には振り仮名を付け、漫画仕立ての楽しいイラスト、クイズ方式を使ってわかりやすく問題の核心へと、導いていきます。
まずはコンビニ・クイズに挑戦。全国にあるコンビニの数は?―四万店。全国の郵便局数(約二万五千局)よりはるかに多い。全国にあるコンビニ全体の一年間の売り上げは?―約六兆円。その約二〇%がお弁当やおにぎりだそうです。
次に、コンビニ店長をバーチャル体験。店長は、天気予報を気にしながら、弁当を朝用、昼用、夜用と何種類も注文します。売れ残りは廃棄処分に…。コンビニ弁当から経営の厳しさが見えてきます。さらにお弁当工場に侵入。なんと二十四時間稼動でパートさんや外国人が働いていました。
和風「幕の内弁当」の食材19種のうち14種が外国産
そして、そこで作られている「和風幕の内」弁当に使われている食材を調べます。数えてみると、全部で十九種。コンビニの広報室に産地を問い合わせると、国産は米やサツマイモ、コンニャク、たくわん、卵の五種のみ。日本以外に七カ国の食材が使われていました。(右表)
その輸送距離を合計したら、なんと十六万キロ。地球四周に相当します。これが、フード・マイレージという考え方。日本のフード・マイレージが際立って高いことから見えてくるのは、低い食料自給率です。その反対が、地域で生産したものを地域で消費する地産地消。本書には、ほかにバーチャル・ウオーター(輸入農産物を、仮に自国で作ったときに必要となる水の量)の話も紹介しています。
千葉さんはこれまでも、割りばしから森林を考えたり、ハンバーガーが熱帯雨林を破壊するといった教材で、子どもたちに問題を投げかけてきました。いま取り組んでいる教材は、サラ金のコマーシャルを子どもたちに見せて、「どこのサラ金を借りたいか」を導入に、サラ金地獄の怖さに迫るというもの。千葉さんは、「どこまで便利になったらいいのか、そのためにどこまで『影』の部分が許容されるのか、考えてくれるとうれしい」と話しています。
(表・絵は本書から。作者は、高橋由為子さん)
(新聞「農民」2006.5.15付)
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