東南・東アジア地域
農業の現状と運動
=フィリピン=
積極的に関税削減を推進
10人に7人が貧しい小作農民
植民地時代の大土地所有制が色濃く残るフィリピンの農業。米、ココナツ、トウモロコシ、サトウキビ、バナナなどが主な農産物です。貿易自由化を信奉する政府の政策によって、海外からの安い輸入農産物が国内市場に大量に流入。国内の農業、農民は危機的な状態に陥っています。
農民は、十人のうち七人が土地を持たない小作農民、五人に三人が借金を抱えています。ますます増える先進国からの農産物のダンピング輸出と多国籍企業によるプランテーション農業への参入など、将来の農業に明るい希望を見出すことができません。
不利な貿易によって国の借金も増え、農民の生活が貧しくなっていくにもかかわらず、WTOに忠実に従って市場開放路線を突き進む政府。一九八〇年代初頭から世界銀行が後援する「関税改善計画(TRP)」によって関税削減を率先して推進してきました。ほとんどの関税率は九五年のWTO加盟時、すでに削減義務を十分に満たすほどになっていました。〇一年に発足したアロヨ政権は、さらに貿易自由化を促進。その結果、現在の関税率の平均は一〇・五%、九割以上の品目は五%以下という異常な低さになってしまいました。
近年、苦しい現状をなんとか打破しようと農民は抵抗運動を全国的に展開しています(写真〈写真はありません〉)。〇四年十一月にはタルラック州の砂糖精製会社「ルイシタ」の六千ヘクタールのプランテーションで働く小作農民がストライキを行い、警官隊と衝突。警官隊の発砲で、子ども二人を含む七人が死亡、百人以上が逮捕されるという大惨事になりました。厳しい弾圧を繰り返す政府に、同国の農民運動は、まさに命がけのたたかいを余儀なくされています。2団体から代表団 今回の会議には、フィリピン農民連合(KMP)とパラゴス・フィリピーナスの二団体から代表団が来日する予定です。
(新聞「農民」2006.4.24付)
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