これが品目横断的対策をはねかえす力だつくる農家ふやし販路を確保しようがんばる京築農民組合(福岡)
家族農業者の九割を農業から締め出し、日本農業をつぶす政府の「品目横断的経営安定対策」にたいし、農家と消費者らが共同して、もう一つの流れを作ろうと取り組みを始めています。「ものを作る人を増やし、販路を確保しよう」とがんばっている、福岡県築上(ちくじょう)町の京築(けいちく)農民組合の取り組みを紹介します。
「担い手」農家もつぶれる運命に福岡県の東岸に位置する築上町は、一月に椎田町と築城町が合併して誕生しました。合併直後の一月二十九日、旧椎田町の湊地区で開かれた「経営安定対策」の説明会。農協職員が「今回の改革は、戦後の農地改革以来の大改革だ。知らなかったでは済まされない」と切り出し、「WTO等の進ちょくのために、零細農家を切り捨てざるをえない」と言い切りました。これにたいし京築農民組合(旧椎田町)の木本正見事務局長は「戦後の農地改革は、土地を農民に解放し、自作農を育て、自給率の向上を進めてきたが、今度の構造改革は、家族農業の農地を、大規模農家か営農組織に集め、ゆくゆくは株式会社に明け渡す方向ではないか。関税ゼロをめざすWTOの受け入れを前提にしたのでは、残る『担い手』農家もつぶれる」と問い詰めました。 説明に立った職員らは、下を向くばかりで答弁不能に陥り、後日、文書での回答となりました。その文書回答でも「(規模が小さい農家は)国の農業を支える担い手ではありません」「国際間の問題は、農業部門だけにとどまらない。今や農産物も一般工業製品と同じ商品であることを再認識する必要に迫られている」など、農水省の言い分を繰り返すだけでした。 旧椎田町の場合、「対策」が実施されれば、四ヘクタール以上の農家だけが保護の対象になり、国の要件を満たす農家は五十戸に激減してしまいます。
「豊前米」の産直・準産直を町の学校給食に使われることに農家つぶしの施策が実施されようとするなか、京築農民組合(牛島常雄組合長)は、「対策」に乗っても、乗らなくても、農業を続けたい農家を励まし、作る農家を増やそうとがんばっています。その取り組みの一環として、消費者に直接届ける産直米や中小の米屋を通して届ける準産直米に取り組んでいます。豊かな水と農地が広がり、米を主体とした水田農業が行われている、この地名「豊前(ぶぜん)」から取った「豊前米」は、し尿を発酵させた肥料「有機液肥」のほか減化学肥料・減農薬で作られ、県からも認証を受けました。昨年から旧椎田町で採れた「豊前米」を町の学校給食に使うことになりました。組合員は「旧築城町の学校給食にも広げたい」と張り切っています。 今年で五年目を迎えるナタネ・トラスト運動。いまナタネのほとんどは輸入され、自給率は限りなくゼロに近くなり、遺伝子組み換えナタネが多く日本の食卓に出回っています。 第一回からナタネ・トラストに取り組む大田孝さん(66)は「こうした現状を変えるために、私たちができる方法は、国産ナタネを作ること。生産者と消費者が手を結び、ともに作り上げていこうと考え出したのがナタネ・トラストです」と語ります。ナタネの自給率を高め、日本農業の再建と日本人の原風景である「菜の花畑」の復活をめざす運動です。 参加費は一口四千円。組合員の田を借り上げ、一反(十アール)を三十口としてトラスト(栽培委託)するもの。収穫したナタネは、ナタネ油にして参加者に配布します。一口申し込めば、九百ミリリットルびんで三から四本戻ってきます。
消費者と共同しナタネ・トラストトラスト参加で農家に役立てば今年も参加申込書には「作付面積を拡大して、量産して下さい。菜の花がナタネ油に変身する日を楽しみにしつつ」「ナタネ油は毎日の食事に欠かせないからこそ、安心で安全なものであってほしい。参加することで、生産者の役に立てるなら」など、参加者の思いがつづられています。毎年四月には、生産者とトラスト参加者との親交を深めるために、「菜の花」交流会を開催。今年は十六日に開かれ、参加者は、潮干狩り、バーベキューなどを楽しみました。当初、三十人一アールで始まったトラストも、年々会員と作付面積が増え、〇五年度は、約八十口、作付けも農民組合で一ヘクタール、営農組合も二ヘクタールに広がりました。 旧椎田町では、十一年前から、有機液肥を使って、米や野菜を作る循環型農業を奨励してきました。ナタネを有機液肥で作るとともに、家庭などで使用されたナタネ油をディーゼル燃料に変え、自動車や農機を動かす「菜の花」プロジェクトに取り組む計画です。町には、資源の有効利用と環境保護を目的としたバイオディーゼル燃料調査委員会が発足しました。こうした町を挙げた取り組みの一環として、ナタネ・トラストが位置付けられているのです。 牛島組合長は「作る農家を増やすことが、政府の対策を跳ね返す大きな力になります。『豊前米』の産直・準産直、ナタネ・トラストの取り組みをさらに発展させたい」と意気込みを語っています。
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5月8日付は、お休みにさせていただきます (新聞「農民」2006.4.24付)
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[2006年4月]
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