「農民」記事データベース20060417-728-13

旬の味


 「人と人との触れ合いが失われた今、人々はクラッシュ(衝突)することで人とのつながりを模索する」。アカデミー賞作品賞を受賞した映画『クラッシュ』の冒頭に確かこんなせりふがあった▼映画はアメリカの大都市ロサンゼルスを舞台にさまざまな人種、職業、階層の人間模様が絡み合う。アメリカは人種のルツボといわれるが人種間の格差は大きく、そこから生まれる貧困や階級が社会の矛盾を深刻にし、相互理解の欠如、無知による偏見や差別、不信のまん延へとつながる▼この映画が提示する現代社会の問題はアメリカに限ったことではない。日本でも希薄な人間関係のなか、悲しい殺傷事件が増えている。そして相互不信を増長する監視国家体制への道を着々と進んでいるのは恐ろしい▼人間は独りでは生きられない。誰もが持つ偏見や固定観念を乗り越えて、真の人間関係を構築するには時間もエネルギーも必要だが、そういった温かい関係こそが殺ばつとした社会に光と希望を与えてくれるのではないだろうか。

(歩)

(新聞「農民」2006.4.17付)
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2006年4月

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