品目横断対策は農家減らし北海道 空知、北見、十勝で連鎖集会
農家・農協など関係者がたたかいののろし日本の食料基地、北海道が大きく揺れています。震源は、規模の大小で農家を選別する「品目横断的経営安定対策」。要件を満たさない農家は、助成金や交付金の対象から外され、農業をやめざるをえない事態に追い込まれるからです。同対策を施行する法案は、国会に提案されたばかり。しかし現場では、農水省が示した要件をもとに、選別が始まっています。こうしたなかで北海道農民連は三月二十五、二十六日、空知、北見、十勝地方で連鎖的に学習会を開催。のべ五百人近い農家や農協など農業関係者が参加し、たたかいののろしをあげました。
“町の命運がかかっている”と町長北海道では、道庁や農協中央会をはじめ、農民連以外の農民団体がすべて「品目横断対策」に賛成し、反対する世論を許さない雰囲気が広がりつつあります。その一方で、特例ガイドラインの問題などの矛盾も次々あらわになっています。このような状況で、空知・奈井江町で開かれた集会には、北良治・奈井江町長が激励にかけつけ、内田和幸・長沼農協組合長、真野弘・北海土地改良区理事長、片倉勝昭・中空知農業共済組合長が、それぞれの立場から厳しい状況を乗り越える提言をおこないました。 北町長は「奈井江町の農家二百四十戸のうち、対象農家は九十戸に過ぎず、残りの百五十戸は対象から外れる。農業が基幹産業の町で農業者が減ることは町の存続にかかわる。品目横断対策の問題点について意思を一つにし、今後の運動に力を合わせなければならない。空知の命運がかかっている」とあいさつ。 基調報告を行った山田定市・北海道大学名誉教授は、「品目横断対策の、価格保障から所得補償への転換、小規模農家の切り捨ては、日本農業の柱を壊すもので、食料自給率の向上に逆行する。自治体や農協とも協議し、道レベル、国レベルで政策要求していくことが求められる」と述べました。
地域農業を守る共同を広げよう十勝、北見地方で開かれた集会では、農家から「これまでは農水省の一方的な説明だったが、今日は政策の隠れたねらいがよくわかった」といった声が相次ぎました。両集会では、農民連の笹渡義夫事務局長が講演。笹渡氏は、財界の提言などを示して、「品目横断対策は財界の要求によるものであり、中心的なねらいは農家減らし、農地減らしだ」と指摘。「地域から『品目横断対策ではダメだ。価格保障でこそ』という声をあげ、農家が生産から撤退しないための知恵を出し合い、地域農業を守る共同を広げ、国民の願いに応える自前の流通も築いていこう」と訴えました。 北見の集会では、訓子府町から参加した後継青年が「この三月に就農を決意した。品目横断対策という言葉も初めて聞いたが、交付金が減らされることが分かった」と発言。集会後も笹渡氏から話を聞いていました。 集会は、それぞれの会場でアピールを採択。(1)世界でも異常な水準にある食料自給率を向上させること(2)農業の継続を希望するすべての農業者を対象にすること(3)「品目横断対策」における「過去の実績に基づく支払い」は猶予期間を設けて、見直しできるようにすること―を求めていくことを確認しました。
(新聞「農民」2006.4.17付)
|
[2006年4月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-22249
Copyright(c)1998-2006, 農民運動全国連合会