東南・東アジア地域
農業の現状と運動
=インドネシア=
世界有数の食料輸入国に
資源・事業体を多国籍企業が乗っ取る
総人口二億三千万人、全就業者の半数以上が農業に従事しているインドネシア。米、ココナッツ、カカオなどを生産する農業大国です。しかし、今ではWTO、世界銀行などが推進する新自由主義によって、世界有数の食料輸入国です。
一九九七年から「構造調整政策」(SAP)を進める政府は、率先して農業の自由化を推進。法体制を整えるとともに民営化を推し進めてきました。海外の企業が国内の株式を一〇〇%所有することを認める一九九四年の政府令第二〇号、自然資源の民営化を許す二〇〇一年の法律第九号などによって、多くの国有事業体(BUMN)が多国籍企業に乗っ取られました。
多国籍企業の介入は、輸出に重点をおくプランテーション農業の発展を促し、現在、四百六十万ヘクタールあるヤシのプランテーションのうち、七五%が外国資本です。
経済が未熟な段階でのWTO加盟、貿易協定の締結は、農産物市場を海外に広く開放する結果を招きました。食料を海外に依存し、食糧主権が脅かされ、農民はますます追い詰められています。
スハルト政権下で抑圧されてきた農民の権利を守るため、インドネシア農民組合連合(FSPI)は一九九八年に設立されました。一昨年のスマトラ島沖大津波の直後、被災者に食料、衣服、医薬品などを援助する活動に取り組み、昨年の香港行動では百人の代表団を送り、食糧主権の確立を訴えました。
代表はソマイリさん。事務局長は前代表のヘンリー・サラギさんが務めます。
(新聞「農民」2006.4.10付)
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