残留農薬を独自検査埼玉県産直協同付属試験センター埼玉県の産直団体、埼玉県産直協同は、産直野菜の残留農薬を独自に検査し、安全性をアピールする取り組みを2年前から行っています。残留農薬を厳しく規制するポジティブリスト制が5月から施行されるのに対応し、農家が安心して野菜を提供できることをめざします。
ポジティブリスト制施行に対応安全な産直野菜を自信をもって供給本庄市のいまい農産物直売所。JAの集荷場が地域から廃止されて以降、地元の農家にとって、農産物を届けるよりどころになっています。直売所に併設されている埼玉県産直協同付属の試験研究センター(立石昌義センター長)には、京都の機械メーカーが開発した残留農薬測定機器一式が設置されています。
簡易・迅速・高精度に残留農薬の検査は、イムノアッセイ法といわれる免疫反応を利用した測定法で行います。調べたい作物をミキサーで砕き、メタノールなどの有機溶媒を使って成分を抽出します。その抽出液とキットの試薬を混ぜて反応した色を読み取り、測定するのです。測定機器は持ち運びもでき、分析結果は二、三時間でわかるので、収穫したその日に、調べることができます。これは、農水省の外郭団体、農産業振興奨励会が「残留農薬等を簡易・迅速にかつ高精度に測定する手法の実用化を図る」として推進する事業。この分析システムの実用化事業専門部会には、立石さんも名を連ねています。 立石さんは「農家は安全・安心の農産物を供給しなければなりません。自らの手で安全を管理するという自覚を高めてもらう意味で検査を行っています」と話します。農産業振興奨励会は、国の補助金として、産直協同の研究センターに二〇〇五年度三十万円を支給。〇六年度も増額が認められれば、十九種類可能だった農薬の検査が、二十四種類に広がります。 直売所の責任者で野菜を販売している高橋雄介さん(26)は「研究センターは直売所に隣接しているので、気軽に検査に出すことができます。検査することで自信をもって消費者に提供できます」と期待を語ります。
基準ますます厳しく五月から施行されるポジティブリスト制度。一定基準以上に農薬が残留していれば、出荷停止、流通禁止などの処分が科せられます。農薬の使用基準を守っていても、空中散布や他の栽培畑からの飛散によって予期せぬ残留値がでる恐れがあり、農家にとって深刻な問題です。大手流通企業が開いたポジティブリスト制の説明会でも、生産者がとるべき対応について、かなりの時間を割いて説明。保管管理の仕方や飛散の防止と対策など詳細に報告しました。 「基準がますます厳しくなるもとで、消費者の信頼を得るために、積極的に行う自主検査の意義は大きくなっています」と立石さん。「今後は、それぞれの分野の蓄積を生かして、専門家をそろえたい」と、製薬会社の退職者をスタッフに加えるなど、体制のさらなる充実をめざします。
(新聞「農民」2006.4.3付)
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[2006年4月]
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