訪米調査した日本共産党参院議員紙 智子さんに聞く査察のとらえ方が大違い
抜き打ち検査は難しくできない―訪米調査では、アメリカ農務省とも会談したそうですね。紙 ええ。農務省に対して、日本に違反牛肉を輸出したアトランティック社の指定の経緯や、FSISの検査官の役割・権限、それから査察の問題などについて質問しました。 農務省と直接話をしてあらためて驚いたのは査察のとらえ方の違いです。日本で普通、査察といえば、現場をちゃんと見て、規則が守られているかどうか確認することですよね。ところがアメリカでは、システムが回っているかどうかの確認なのです。 どういうことかというと、査察に行って、「日本に輸出する場合、SRMはどこを取り除かなければならないか、何カ月齢以下でないといけないか」などを、担当者が認識しているかどうか確認する。担当者がそれを分かっていれば、システムは機能していると判断されるわけです。 農務省は「アメリカではこうしたやり方が確立しており、日本政府も納得している」と話していました。「抜き打ち検査はできないか」と聞いたら、「いきなりはちょっと難しい」と。アメリカのやり方に合わせていたら、食の安全は確保されないと強く思いました。 検査官の権限ということでは、農務省の回答は「処理ラインをストップする権限はある。検査を拒否して引き揚げたり、不適合ということで輸出証明を発行しないこともできる」ということでした。しかし全米連邦獣医官協会の法律顧問、ウイリアム・ヒューズさんと電話で話し、これが絵に描いたもちに過ぎないとわかりました。 ヒューズさんは、署名を拒否してFSISから停職処分を受けた獣医官の弁護をしています。獣医官が署名する場合でも、「サインする書類が多すぎて、要件を確認することなく他人が作った書類にサインせざるをえない。このことを農務省は、ちゃんと受け止めるべきだ」と話していました。
日米間に安全対策の感覚のズレ―今度の調査を、今後の国会活動にどう生かしていきますか。紙 訪米調査で実感したのは、食の安全対策に対する日米の感覚のズレです。日本は安全と安心をセットにして、全頭検査とSRMの除去、肉骨粉の完全禁止など、できる限りの対策をとり、みんなが安心できる状況をつくってきました。ところがアメリカは、SRMの除去だけで十分、全頭検査は非科学的の一点張りです。 アメリカは今、きちんとしたBSE対策をとらないと、将来たいへんなことになると思います。そのためにも日本政府を、アメリカ言いなりでなく、主体的に「こうしなければダメだ」と言っていく立場に立たせる必要があります。 今、アメリカ産牛肉を輸入停止していますが、再開の根拠を見つけるのは困難でしょう。すぐ決着しないと思うので、系統的にとりくんでいきたいと思います。 (おわり)
(新聞「農民」2006.4.3付)
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[2006年4月]
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