旬の味

　韓国のテレビドラマ「チャングムの誓い」がおもしろい。朝鮮李王朝の宮廷女官チャングムの料理をめぐる活躍と出世物語である▼単なる韓国ドラマと違うのは、多彩な食材を使った料理の数々だ。アワビやナマコの薬ぜん料理、豚肉のみそいため、甘酢を使った成人病予防食など、日本の郷土食に共通するものも多く、それだけ見ても楽しい。長い間に培われた日本と朝鮮の深い関係がしのばれる▼残念なのは、小泉首相をはじめとした靖国参拝や「戦前の日本は韓国や中国の近代化に貢献した」などの発言で、日韓関係がおかしくなっていること。伊藤博文を暗殺した韓国の英雄・安重根は、理由の第一に日本軍によって殺された朝鮮李王の王妃・閔妃（みんび）の事件をあげている。他国の軍隊が一国の王妃を暗殺するなど近代史上例を見ない悪逆無道なことだが、このことを日本の教科書はまったく伝えていない▼チャングムのけなげな姿を見ていると、過去をきちんと反省し、真の平和・友好を掲げる政治にしなければと思う。