本の紹介末永昌巳著 つぶすな!農村と農業近代的いなか社会づくりをめざして
農政批判と農村守りたい強い思いがあふれるこの本は、一九八七年から今日までの時事通信社が発行している『農林経済』に掲載された末永昌巳さんのエッセイから、八十四編をまとめたものです。第一部は、農村(むら)と農業と農政の課題、第二部は十字架を忘れてJAになった農協、第三部は農村(むら)づくり抄録―という構成。約二十年の間に、いかに農業政策が大きく転換させられたか、よくわかります。 食糧管理制度がなくなり、WTO体制のもとで農産物の自由化が進み、新しい農業基本法が制定され、「いまや農業で生活できるだけの条件を持っている人たちはごくわずかである」と嘆きつつ、「地域として農業環境を守ってゆかねばならない」と決意を述べています。 末永さんは、山口市にある仁保農業協同組合の組合長を長く勤めてきました。その経験から、「この二十年間は(農協の)原点を忘れられた時代」であり、「今後の展開次第では、協同組合としてではなく企業体としてのリスクを覚悟せねばなるまい」と苦言を呈しています。 自ら四十アールのぶどう畑を経営している末永さん。生産現場からみつめる農政への批判と農村を守りたいとの強い思いが、胸にせまります。 なお、末永さんは、去る二月十三日、逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。 (時事通信社、定価1400円+税)
(新聞「農民」2006.3.27付)
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[2006年3月]
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