タイ農村かけある記(4)
米流通業者まかせに対抗農協中心になり経営守る バンコクから約七十五キロ離れた中部平原の古都、アユタヤ近郊にあるマハラート農協(一九七五年に設立、組合員は千四百十四人)を訪ねると、エーク組合長以下すべての理事さん(十五人うち女性四人)と、タイ政府から協同組合局(CPD)の郡事務所長スラサルカさんらが迎えてくれました。 中部平原は、メナム・チャオプラヤ河流域の肥よくな土壌に恵まれ、灌漑(かんがい)比率も高い稲作地帯です。しかし、急激な工業化で、優良な農地が次々とつぶされ、耕作放棄地が増加しています。こうしたなかにあって、この農協は年間約一万トンの米を販売し、黒字経営を維持しています。 タイの米流通は、すべて業者中心の自由市場です。米価は卸売価格や輸出価格が基準で、生産費や農家所得などへの配慮はありません。また、すべての農産物取引は現金買い取り制で、資金不足の農協による集荷はごくわずか。したがって、流通業者まかせの米価乱高下で、農民の暮らしはいっこうに楽になりません。 そこでマハラート農協は、政府から米の買い付け代金を融資してもらい、集荷した米を業者まかせにせず、有利に販売して農家の経営を守っていこうとしています。来年には、農協が管理運営する公益市場をオープンさせ、公正な取引の場を確保しようとしています。 エーク組合長は、「弱いものが集まって、知恵をしぼって自分たちの暮らしを守っていくのが、わたしたちの使命」と、胸を張ります。もうけだけを追求する業者に対抗し、「ものづくり」の喜びを共有しあう農民たちがここにもいることに、胸を打たれました。 (おわり この連載は赤間守が担当しました)
(新聞「農民」2006.3.6付)
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[2006年3月]
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