高齢者・経済的弱者を直撃
国会に提出された医療制度改悪法案
高負担強要、皆保険制度の土台覆す
小泉内閣は、医療制度「改革」法案を国会に提出しました。この法案は、高齢者を中心に新たな国民負担を押し付け、公的な医療制度の土台を壊そうとするものです。
70歳以上の窓口負担は三割に
法案は、表のように高齢者を直撃します。たとえば、糖尿病で月三回通
院している七十歳以上の人の窓口負担は、いま二割負担で月七千六百二十円ですが、三割負担で一・五倍の一万千四百三十円にはねあがります。
また長期入院の場合、いま入院食として月二万四千円が患者負担ですが、これに「調理コスト」を加算して四万二千円に引き上げ、さらに「水光熱費相当の居住費」を一万円加え合計五万二千円の患者負担に。結局二万八千円の負担増です。
農山村地での影響は大きく
さらに、七十五歳以上のすべてから保険料を取り立てる「後期高齢者医療制度」を〇八年四月からスタートさせます。いまの制度では、健康保険の被扶養者として保険料を支払っていない高齢者(約二百五十万人)がいますが、この人たちからも年金から天引きして保険料を取り立てようというもの。年間の保険料は、七万四千円。これに介護保険料も合わせると大変な出費になります。また、国民健康保険に加入する六十五歳以上の人からも、年金から天引きできる制度を導入します。
経済的弱者が多い高齢者に負担を強いて医療費を抑制しようとすることは、「いつでも、どこでも、だれでも」医療を受ける権利がある国民皆保険制度の趣旨に反するものです。とくに、国民年金の受給者が多い農村に住む高齢者にとって、その影響は大きく、医療を受ける機会が大きく制限されることになります。国には憲法二五条の生存権を保障する責務があります。安心して生活できるように、高齢者をはじめとする患者負担の軽減、医療・福祉の充実、農山村での医療環境の整備など、政策の転換が求められています。
(新聞「農民」2006.3.6付)
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