サケが上りサシバも飛来里山の自然よみがえらせた千葉県多古町 桜宮自然公園
町民が力を合わせて下草刈りや田の補修千葉県多古町の「桜宮自然公園」は、荒れ果てた谷津田を町民が力を合わせて見事によみがえらせた公園です。春は桜が咲きほこり、夏はカエルの鳴き声が谷を抜け、秋には黄金色に実った稲穂の上をトンボが飛び交う里山の自然。地元の小学生たちが野外学習で訪れ、元気な声を響かせます。「桜宮自然公園をつくる会」がつくられたのは、四年前。同会のメンバーは今なお、一年に二十回以上集まり、里山の下草刈りや田んぼのあぜの補修、散策路の整備などに汗を流し、県の里山条例の認定を受け、里山コンテストにも入選した公園の自然環境を守っています。 「会」の結成は、隣接地に産廃処分場の建設計画がもち上がったことがきっかけでした。当時、多古町農業委員会の会長を務めていた所英亮さん(写真〈写真はありません〉)=「つくる会」会長代行、元千葉県農民連会長=が産廃とのたたかいと平行して、遊休農地を解消し、住民の憩いの場として自然公園をつくろうと、農地や山林の地権者とともに立ち上がったのです。 その後、産廃計画は、昨年九月の縦覧公告で、焼却炉の発注先業者が倒産していたことが発覚。所さんは「県の審議会は開かれていないが、あくまで取り下げを求めていく」と決意しています。 町内を流れる栗山川の支流、トキワ川には昨年、横芝堰(せき)に魚道が完成し、五十年ぶりにサケが上ってきました。サケは清涼な湧き水がなければ上りません。千葉県に、サケが上る南限の川があることはあまり知られていませんが、上流の旧山田町山倉神社にはサケ信仰があり、毎年十二月の第一日曜には鮭祭りが開かれています。里山を守る運動も栗山川漁協と連帯しています。 さらに、自然公園は渡り鳥のサシバの飛来地。これは、ここの環境が優れていることを物語っており、サシバは公園のシンボルになっています。
田や山の地権者が発起人になって…「この運動の強みは田や山の地権者が発起人になったこと。企業の利益を肥やすのではなく、地域の人々に喜ばれる公園をつくることを地権者は選んだのです」と、所さん。人の手が加わってこその里山の維持はたいへんですが、「楽しみながらいつかはコウノトリやトキの姿を見たい。これこそ私たちの夢とロマンです」と語っていました。(千葉県農民連 飯尾暁)
(新聞「農民」2006.2.27付)
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[2006年2月]
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