憲法改悪は絶対許せない(下)農民連全国委員会での講演 元参院議員・吉岡吉典
改悪に乗り出した理由は国連憲章をより発展させた日本国憲法国連憲章は、原爆が投下される前に作られました。一方、日本国憲法は、原爆の悲惨さをわかったうえで作られました。国連憲章をよりいっそう発展させ、戦争をやらないというだけでなく、軍隊を持たない、交戦権も否定する――ここまではっきりさせたのは、最初の被爆国としてつくられた憲法だからです。同時に弱点として、日本は自分の手で戦犯を裁きませんでした。「裁こう」という意見が政府内部で起こりましたが、天皇が反対してやれませんでした。それが今の靖国神社の問題などに残っています。 戦後六十年が過ぎて、いまアメリカは徹底的に日本の軍事力を使わざるをえなくなってきました。そのことが、改憲勢力が総決起し憲法改悪に本格的に乗り出してきた理由です。 私の本で詳しく書きましたが、こういうことです。アメリカは、ソ連の崩壊で安保条約の根拠はなくなったと言っています。そして新しい軍事同盟の時代に入ったと。一方、小泉首相は国会で「イラクに自衛隊を派遣したのは、安保条約の第何条によるのか」と聞かれ、「安保条約とはまったく関係ありません」と答えています。ではどういう理屈で自衛隊をイラクに派遣したのか。
憲法解釈では間に合わず、 …改憲に安保条約はじめ、日米間の取り決め、政治家同士の共同宣言、そうしたものを全部ひっくるめた安保体制と、国際協調のためだと言っています。国際協調とは「アメリカとの協調だ」と、外務省の北米局長がはっきり言いました。こうなると、憲法解釈ではもう間に合いません。ですから改憲なんです。最後に、自民党の憲法草案がさかんに国民の責任と義務を強調していることについて、一言触れておきます。明治二十年代に森有礼と伊藤博文の有名な論争があります。伊藤はこのなかで、「憲法をつくるということは、天皇の権限を小さくして臣民の権利を守ることだ。そうでなければ憲法をつくる意味はないんだ」と言っています。伊藤が明治憲法で天皇を神にしてしまったのですが、しかし、これよりもさらに古いのが、自民党の憲法草案ということになります。 改憲勢力が国会で多数を占めるという事態はたいへんなことですが、改悪の中身は、本当にバカげた内容です。農民連の力をおおいに発揮して改憲阻止に全力をあげましょう。 (おわり)
なお、吉岡さんの本を読みたい方は、農民連本部まで問い合わせください。
“どうして変えるの?平和憲法”共同センターがリーフレット作製憲法改悪反対共同センターは、憲法リーフレット「どうして変えるの?平和憲法」を作製。「国民投票法案を許すな! 草の根からの宣伝と署名推進の強化月間」(二〜四月)でおおいに活用を呼びかけています。リーフレットは、四つ折りA5判で持ち運びに便利。「ご一緒に考えましょう」という家族のイラストがついた表紙を開くと、「自民党の憲法草案にはこんなことが…」として、「自衛軍を明記して、海外での戦争が可能に」など、五つの問題点を明らかにしています。 また、国民投票法案を「国民主権をないがしろにするもの」と指摘。「けんぽうQ&A」でわかりやすく解明し、俳優の吉永小百合さんと映画監督の大林宣彦さんの「ごいっしょに憲法を守りましょう」のメッセージも。 申し込みは、農民連本部まで。
(新聞「農民」2006.2.27付)
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[2006年2月]
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