「農民」記事データベース20060213-719-11

旬の味


 雪国に暮らして七十年、少々の雪には驚かないが、今年はまいった。「想定外」である。山間の独り暮らしの老人がまた、雪の中から死んで発見された。過疎地の豪雪はまさに恐怖だ▼恐怖と言えば、昨秋からの耐震強度偽装事件は恐怖そのものではないか。農村に住んでいても兄弟や子や孫が都会で暮らしている。だから人ごとではない。しかも、天災ではなく人災である▼アメリカの要請に応じて国民の安全よりも企業の利益を優先する「官から民へ」の規制緩和。そのツケが今あらゆるところで顕在化してきた。アメリカ産牛肉の輸入など一カ月ともたなかった。極めつけはホリエモンだ。片棒を担いではしゃぎまわった自民党の小泉首相や武部幹事長、竹中大臣の正体を見た思いがする▼『宇(う)治(じ)拾(しゅ)遺(うい)』に普(ふ)賢(げん)菩(ぼ)薩(さつ)に化けた狸(たぬき)を、位の高い坊主がありがたく拝む話があるが、ホリエモンは狸が化けた平成の普賢菩薩だったのだろう▼どんなに深い雪でも季節が移れば消える。どんなに悪い政治でも国民の意識が変われば変わる。

(新)

(新聞「農民」2006.2.13付)
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2006年2月

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