増税反対の取り組み全国で大きく大きくはねあがる税負担大阪府連田中書記長
税金申告を前に、各地で申告に向けた学習会や相談会が始まっています。定率減税の縮小・廃止や各種控除の廃止・見直し、消費税免税額の引き下げなど、小泉「大増税攻勢」が吹き荒れるなか、これに対する怒りがますます高まっています。農民組合大阪府連の田中豊書記長は全国委員会で、農家の実例を示し、大増税を告発しました。その内容を紹介します。
控除額が減らされAさんは、奥さんと子ども一人、それに両親の五人家族で野菜をつくる専業農家。一年間の売り上げは約千五百万円で、税金申告は青色申告を選択し、両親を専従者として月十五万円(年間百八十万円)の青色専従者給与の支払いを税務署に届け出ています。二〇〇四年のAさんの税負担は、奥さんの配偶者特別控除(三十八万円)が廃止されて控除額が減りましたが、三百六十万円の専従者給与と五十五万円の青色申告特別控除後の所得金額が諸控除の合計金額を下回り、申告納税額はゼロでした。ただし、両親の百八十万円の青色専従者給与については、一人一万六千円、二人で三万二千円の源泉税を税務署に納付しました。これは、給与収入百八十万円から、給与所得控除七十二万円、老年者控除(六十五歳以上)五十万円、基礎控除三十八万円の合計百六十万円を控除し、残りの二十万円に対する税額二万円から定率減税二〇%を差し引いた額です。
一昨年の11・5倍にAさんが増税を痛感させられたのは、昨年末に両親の専従者給与について源泉税の年末調整計算をしたときです。二〇〇五年分は老年者控除が廃止されたため、給与収入百八十万円から差し引く諸控除は百十万円に激減、課税される所得金額は七十万円になり、定率減税後の源泉税額は一人五万六千円、二人で十一万二千円にもはね上がりました。この時点でA家の税負担は、三万二千円から十一万二千円へと三・五倍でした。 さらにAさんは二〇〇三年の売り上げが一千万円を超えたため、二〇〇五年分の売り上げに消費税の納税義務が発生します。収支計算をしてみると売り上げは千八百万円を超しそうです。簡易課税の届け出をしているので、売り上げが千八百万円であれば、申告する消費税は約二十五万七千円。両親の源泉税を合わせるとA家の税負担は三十六万九千円、一昨年の十一・五倍になりました。
税制改悪されたら今後、消費税率の二けたへのアップ、所得税の配偶者控除や扶養控除の縮小・廃止、給与所得控除の縮小など、庶民負担増の税制改悪が実施されれば、A家の税負担はどこまではね上がるのか? 増税反対の取り組みを全国で大きく広げることが求められます。
茨城県連消費税の申告書の書き方など学ぶ税務調査対策の交流も農民連・茨城県連は十九日、各単組税対部・事務局を対象に「消費税学習会」と「税務調査対策交流会」を開催、十一人が参加しました。(写真〈写真はありません〉)県連税対部長の初見安男さんを講師にした消費税の学習では、簡単な例題で申告書の書き方を学び、実際に記帳してみました。“消費税は初めて”という参加者は、「書き方の流れは分かった。伝票などをみてこの通りできるか不安」。また「一千万という簡単な例題で練習できてよかった。できるぞと思えた」などの感想もでました。 また税務調査対策交流会では、現場でのさまざまな調査経験を交流しあい教訓を学びあいました。経験者からのアドバイスも飛び交い、実際に会員さんと一緒に経験を積み重ねていくことが大事だなと実感、活発な学習会となりました。二月始めには「所得税」の学習会を行う予定です。 (茨城県連 吉川路子)
(新聞「農民」2006.2.13付)
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[2006年2月]
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