「農民」記事データベース20060206-718-06

WTO香港行動に参加して

全労連・全国一般労組東京地本副委員長  梶 哲宏さん


さらなる連帯の必要を痛感

 日本の食の安全と安定供給を守るという立場で行動に参加しましたが、労働者がもっと自ら要求を掲げてWTOに対抗しなければと感じました。

 多国籍企業の横暴で、農民は生産物と自家労賃を買いたたかれ、労働者は賃金の切り下げで労働力を買いたたかれています。生活破壊の根っこは同じです。これを推進する仕掛けがWTOです。

 香港で開かれたシンポジウムでパネリストが「この経験を持ち帰り、それぞれの国で政府へ向けて要求行動を起こそう」と呼びかけ、とりわけ「直接民主主義権を行使しよう」と言ったことが印象に残りました。

 日本は今、一握りの大企業がもうける一方、地方・農村の破壊と労働者の賃下げ・非正規雇用が広がり、重税と社会保障の引き下げなどで国民生活が買いたたかれ、破壊されています。まさに国民的連帯で生活の最低限の保障=ナショナル・ミニマムの実現をめざしていくことが重要です。

 ナショナル・ミニマムをテーマに私たちが開いたシンポでは、大企業の社会的責任と国や自治体の公的責任が問題になりました。すなわち自動車を売らんがために環境や農業を破壊し、各国の国民生活を切り下げてよいのか、八億を超える飢餓人口を放置したままでいいのかという問題です。また、“官から民へ”ということで何でも規制緩和していいのか、大企業の横暴を規制する法制度が今こそ必要なんじゃないかということです。

 私は、新自由主義を推進するWTOが否定されていくのは歴史の必然だと思います。まず、農民と労働者が力を合わせていく必要を痛感しました。

(新聞「農民」2006.2.6付)
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2006年2月

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