「農民」記事データベース20060130-717-18

旬の味


 この秋、何人かのIターン農業者に会うことができた。その一人Hさんが新年早々、TVに出た。そういえば宮沢賢治もIターンだった▼「ひのきとひなげし」という賢治の童話がある。ひなげしが口々に「もっときれいになりたい、あの女王(スター)のようなひなげしに」とうらやみ、危うく美容師に化けた悪魔に摘み取られそうになる話だ。ひのきは言う。「君たちみんながスターなんだ。オールスターキャストというじゃないか。それぞれがみな輝いているんじゃないか」。いま賢治が生きていたら、「日本農業はダメだ」という人たちに、この童話や「めくらぶどうと虹」を読んできかせるのではなかろうか▼かつて私も佐久は寒くて二毛作もできないと他をうらやんだ。寒いおかげでいいものができるのに▼Iターンの人たちの条件や事情は全部違うが共通しているのは現代社会の人間の生き方、環境・自然に関係しての農業への価値観であった▼農業を自嘲(じちょう)する時代に、大地にしっかり根を下ろす人々と賢治。

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(新聞「農民」2006.1.30付)
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2006年1月

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