タイ農村かけある記(1)食糧の生産と消費を結ぶ研究会(生消研)は、昨年十一月上旬、タイ農業と日本とのかかわりについて学ぶ目的で、タイ農業視察を行いました。この農業視察には、現地参加も含め、大学教授や生協の職員・組合員、農民や学生など十六人が参加しました。
冷凍エダマメ栽培種・農薬・肥料は日本基準でタイから帰国して、日本を離れていた間の新聞に目を通していると、「冷凍エダマメ、三年ぶり前年上回る」(「日本農業新聞」)との記事。そして「最近では、トレーサビリティなど、消費者の食への安全・安心に対する関心が高まる中、海外拠点に自社管理農場を開設する業者もある」と書かれています。あのタイ北部チェンマイ郊外―チェンライ県ロープラの村で、雨の中、かっぱを着てエダマメを刈り、傘の下で実抜きをする農民の姿や、そのエダマメを冷凍して輸出するランナ・アグロ社(LA)で働く若い労働者たちを思い起こしました。ロープラの農民は、LA社と契約栽培しています。同社の社員が現地指導して、種も農薬も肥料もすべて輸出先の日本の基準に合わせています。とくにエダマメの選別が厳格です。これは、輸出先の日本企業(ニチレイなど)の指示によるものです。少しでも傷や斑点(はんてん)があると、はねられます。それでも農民は、「価格の変動がなく安定的に買い上げてくれるので、所得もあがった」と評価しています。 しかし、タイの人たちはこれまで、エダマメを食べてこなかったし見たこともありません。ただ、日本に輸出すれば企業はもうかり、農民は収益になるから生産しているのです。 (つづく)
(新聞「農民」2006.1.30付)
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[2006年1月]
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