「農民」記事データベース20060130-717-11

地下農場で稲刈り

ハイテク技術駆使でもダメ
農家のチエ借りやっと実る

東京・大手町


小泉首相の植えた稲実らず

 東京・大手町のオフィス街にある人材派遣会社、パソナの地下農場で一月十一日、稲の刈り取り式が行われました。

 昨年二月にオープンしてから約一年。オープン当日は、小泉首相も訪れ、自ら田植えを行い、「すごい、農業革命だな」と持ち上げました。

 刈り取り式で、パソナの南部靖之社長は「総理が植えた稲は、残念ながら実りませんでした」とあいさつ。参加者から失笑がもれました。まさに「『農業革命』の正体見たり」です。

 南部社長によると「工学・農学博士の知識やハイテクをもってしてもだめだった」が、「京都の農業従事者に見てもらい、(1)稲は雨で酸素を吸収する(2)風が必要(3)苗の間隔を開ける―などのアドバイスをもらって、何とか実った」とのこと。ハイテク技術の駆使よりも、一人の農民の知恵の方が勝るということの証明ではないでしょうか。

 来賓あいさつした竹中平蔵総務相の「構造改革も芽を出して実りつつある。一度枯れたというのは、法案が一度は廃案になったことと同じ。成功を見て勇気づけられた」との言葉が空しく響きました。農家のくらしや農業をだめにする、政府の構造改革、「農業革命」は何度でも廃案に追い込みたいものです。

(K)

(新聞「農民」2006.1.30付)
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2006年1月

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