「農民」記事データベース20060123-716-02

WTO香港行動に参加して

国際的な連帯 大いに深めた

 昨年末に香港で開かれたWTO閣僚会議に、農民連・食健連などは百八人の大代表団を派遣。ビア・カンペシーナに加盟する農民組織をはじめ、大いに国際的な連帯を深めました。参加者の感想を紹介します。


世界の正義の主張を実感

秋田県農民連委員長 佐藤長右衛門さん

 香港での八日間は、一日の行動が二万五千歩を超えるハードな日程。まさに体力勝負でした。

 二年前、メキシコ・カンクンで閣僚会議が開かれた際に参加した時は、WTOという“怪獣”に農業が飲み込まれてしまう危機感から、「どうせやられるなら、この目で見てやろう」と思っていたところ、「決裂」という歴史的瞬間に遭遇しました。その時の代表団は四人。今回はその二十七倍の大代表団ですから、この間の運動の前進は一目りょう然です。

 香港には世界中から農民が集まっていました。「食糧主権の確立」「WTOは農業・食糧から出ていけ」―世界の正義の主張が、多国籍企業の横暴に待ったをかけていることを実感。私は、ビア・カンペシーナのシンポ(十四日)とブラジル・カナダ・東西アフリカ・日本の農民の共同記者会見(十七日)で発言の機会を得て、輸出国も輸入国も、また先進国も途上国も、どの国の農民もWTO体制で大きな被害を受けていることを訴えました。

 「日本の農民は豊かなのに、なぜここに来たのか」といった外国メディアの質問にも、WTO後十年間の日本農業の実態を丁寧に説明。納得してもらえたようで、少しは国際世論に役立ったのかと思います。

 今回のWTO閣僚会議は結論を先送りしました。予断は許されませんが、世界の民衆が、一部の大国や多国籍企業の利益を優先する横暴を押し返していることは確かです。香港行動は、私の農民運動の中で特別な感慨をもつと同時に、新たなたたかいの決意の場になりました。


貧困にあえぐ労働者の姿世界に

全労連事務局次長 宮垣 忠さん

 WTOに対する国際行動に全労連として初めて参加しましたが、香港には韓国やフィリピン、ブラジル、アメリカなどの労働組合が来ていました。一昨年の全労連大会に来賓として出席した、フィリピンの進歩的労働同盟の書記長が声をかけてきてびっくりしました。各国の労働組合が来たのは、WTOが農業の分野だけでなく、サービスの分野などでも自由化を推進しているからです。

 集会が開かれたビクトリアパークで、金融関係の仕事をしているという香港の青年が「豊かな日本からなぜ来たのか」とたずねてきたので、日本の完全失業者が三百万人もいて、その半数が青年であることを説明すると驚いていました。さらに、たまたまペットボトルの水を持っていたので、日本でこれを買うと百五十円するが、同じ量の生産者米価は百円にも満たないと紹介すると二度びっくり。香港の街並みに市民の所得格差の大きさを感じるが、日本でも格差が拡大していると話すと納得していました。

 日本の財界は、WTOを利用して工業製品を輸出するかわりに、安い農産物と労働力を輸入しようとしています。日本の青年がこれほど失業に苦しんでいるのに、さらに安い賃金を求めています。香港では東南アジアからの移民労働者が力強く立ち上がっていました。多国籍企業のもうけの裏で労働者の生活が切り捨てられる現状を変えていかなければと思いました。

(新聞「農民」2006.1.23付)
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2006年1月

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