「総合農協の解体」攻撃は廃案でなく継続審議に規制改革・民間開放推進会議の答申
規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内オリックス会長)は、昨年十二月二十一日に第二次答申を最終決定し、公表しました。「“小さくて効率的な政府”の実現に向けて」と題するこの答申は、官業の民間開放推進など制度の見直しを提言しています。個別重点検討分野として、医療・教育とならんで農業分野があげられ、農協と農地に関する改革提言が行われています。
先送りされた具体的施策十七(二〇〇五)年度中に結論を出し、十八年度に措置する「具体的施策」としてまとめられたのは、〈1〉担い手の育成確保による農地の効率的利用として(1)担い手への直接支払制度の具体化(2)新規参入促進のための農業生産法人制度等の周知徹底、〈2〉農業関連流通の合理化・効率化として(1)農協の経済事業改革等の推進(全農等の経済事業改革の推進、部門損益開示の促進、全中監査の第三者性の強化)(2)農協の不公正取引方法等への対応強化(3)農業補助金の情報提供体制の整備(4)新規参入促進に係(かか)る実態把握体制整備―です。同時に、具体化は先送りされたものの、同会議メンバーによる「問題意識」として表現されたなかには、現行農地制度での「耕作者主義」を排して株式会社等の新規参入を促進することや農業委員会メンバーの農業者以外への拡大などが主張されています。 また農協についても、協同組合原則である「一人一票制」を批判して、大規模農家の利益を優先することを主張。経済事業への他部門からの補てんについても問題を指摘し、信用・共済との兼営批判を強調して、他の事業者との対等な競争による合理化・効率化を求めています。
大規模な人減らし計画も当日の記者会見で宮内議長は、農業・農協分野についての質問に答えて、「本年度は合意できる部分が非常に少なかったが、来年度も引き続き取り上げ、何年かかけて前へ進む」こと、そのさい「問題意識」とされた内容の協議を継続することを認める発言をしています。まさに「農協解体」攻撃は、“廃案”ではなく、“継続審議”にされたということです。しかもこの第二次答申の背景に、全農が農水省からの業務改善命令に応えて、「五年間で関連全職員の二割にあたる五千人を削減し、それを含めて担い手農家へ二百四十億円の還元を行う」と約束し、大規模な人減らし合理化計画を明らかにしたことも見落とすことができません。 (Y)
(新聞「農民」2006.1.16付)
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[2006年1月]
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