「基本計画」から展望を考える生協懇が学習・活動交流会
食料・農業・食の安全に関する生協懇談会(世話人生協=コープ十勝、いわて生協、東都生協、CO‐OPとやま、コープぎふ、大阪いずみ市民生協、コープかごしま)は十二月一、二の両日、東京都内で「私たちの食と日本の農業―今とこれから」と題して学習・活動交流会を開きました(写真〈写真はありません〉)。全国から生協関係者や産直でつながる生産者、食品業者など百三十人余が参加しました。 一日目は、九州大学の磯田宏助教授が、「農水省の『食料・農業・農村基本計画』は日本の農業をどのように展望しているか」と題して基調講演。明治大学の滝澤昭義前教授が、「いま、食にもとめられるもの」というテーマで課題提起しました。 磯田氏は、食料自給率向上の課題について、小麦・大豆の自給率があがったのは生産者全員を対象とした財政的な支援策があったからだ、と分析。「担い手」をしぼりこむ「新たな経営安定対策=品目横断的対策」では、自給率向上はのぞめないと指摘しました。そして、農家の生産・所得を償う価格保障制度が必要であり、これが農家の「岩盤」だと述べました。
産直や国産応援の取り組み交流二日目は、「食と農をつなげる実践を交流し学びあう」をテーマに、パネルディスカッション。パネリストは、みやぎ登米農協組合長の阿部長壽さん、紀ノ川農協専務理事の松本和広さん、エフコープ生協理事長の陶山惠子さん、いわて生協理事長の池田和昌さん、東都生協副理事長の矢野洋子さんの五人。それぞれ生産現場との交流・援農へと発展した産直事業や国産応援キャンペーンの取り組みなどが報告されました。また会場から、日本生協連合会が出した「日本の農業に関する提言」を批判する意見などが出されました。
家族農業や地域農村を崩壊させてはならないみやぎ登米農協組合長 阿部長壽氏の発言パネルディスカッションで報告した阿部組合長の発言を一部紹介します。
「基本計画」づくりは、まず自給率目標を設定し、それに必要な農地、担い手をどう確保するかという手順ではないでしょうか。農水省のやり方は、まったく逆です。本来のねらいが自給率の向上にあるのなら、まず農地、担い手の議論をすべきです。ところが農地規制はいっそう緩和しようとしているし、担い手は選別してしぼり込もうとしている。これは、戦後農政の大転換であり、「基本計画」の狙いは自由化農政の総仕上げ、総決算と言わざるを得ません。 担い手政策は、三十年以上にわたって規模拡大をめざしてきましたが、結局実現していない。こうした規模拡大政策を反省しないまま、新たな選別政策を導入して自給率を高めることができるのか、はなはだ疑問です。専業農家も兼業農家も手を携えて多様な集落営農を展開していく、そこに行政が支援していくことが大事です。 日本農業の根本は、家族経営農業です。それを成り立たせていくために農協があるわけです。集落営農は、家族農業を基軸に条件整備を集落で行うという発想で進めるべきで、農協はそこに全力をあげるべきだと思います。家族農業や地域農村を崩壊させてはならないというのが、私の基本的な考えです。
(新聞「農民」2005.12.19付)
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[2005年12月]
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