「農民」記事データベース20051205-711-02

改憲阻止へ壮大な運動を

農林水産「九条の会」呼びかけ人・海洋サイエンティスト 河井智康さん


〈プロフィル〉

一九三六年東京都四谷生まれ、六十九歳。東京水産大学を卒業後、農水省の水産研究所に勤務。現在、二十一世紀の水産を考える会代表理事、日本科学者会議平和問題研究委員会責任者、原水爆禁止世界大会運営委員会代表などで活躍。


 九月の総選挙で、国会は改憲派が圧倒的な多数を占めました。自民党は結党五十年を機に、正式に改憲案を明らかにして、九条を変えて日本を戦争できる国にしようとたくらんでいます。

 こうした状況の中で、憲法を守ろうという運動はとてもしんどいようにみえます。しかし改憲しようとする側も、そう簡単ではないと思います。国民投票法が成立できないとか、国民投票の結果、改憲が「否決」されれば、国政そのものが大転換するからです。だから、改憲派も盤石の態勢で構えてくるでしょう。

 九条は日本だけの財産ではない

 私の住んでいる東京・杉並区では、教育委員会が不当にもあの「新しい歴史教科書」を採択しました。一度は採択を阻止したんですが、二回目は、賛成派がデモをかけ「ぜったい通す」という構えできました。こうした経験から、国民投票になれば賛成派も大行動を組織していろんなことをやってくると思います。そうしたことも想定して壮大なたたかいを組織していかなければと思っています。

 私は、八月に広島・長崎で開かれる原水爆禁止世界大会の運営委員会代表もしていますが、昨年の大会からスローガンに「平和憲法を守ろう」を掲げました。とくに海外の代表から、「九条は日本だけの財産じゃない。もっともっと国際的な問題にしていかなければ」という発言が目立ちました。これも情勢を変えていく動きではないでしょうか。

 自給率低下する日本の水産物

 また長く農水省の水産研究所で働いてきましたが、日本の漁業は農業と同じ道を歩いています。日本は良好な漁場に囲まれていますが、水産物の輸入拡大がすすみ、自給率はいま五割にまで落ち込んでいます。とくに加工業の材料はほとんど輸入魚です。私は仲間たちと「二十一世紀の水産を考える会」という研究会を母体に、シンポジウムや雑誌を発刊したりしていますが、漁業でも自給率を高めていく運動が求められています。そして大きな戦争がおこれば、食糧難は必至です。

 いま日米両政府から、米軍と自衛隊が混然一体となった基地再編強化の計画が打ち出されています。これは九条を変えようというたくらみの先取りです。いまこそ、九条を守ろうという呼びかけだけでなく、「安保をなくしてアジアの一員として生きていこう、平和な世界をつくっていこう」と呼びかけていくことが、非常に大事になっているのではないでしょうか。

(新聞「農民」2005.12.5付)
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2005年12月

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