「農民」記事データベース20051121-709-05

日米安保協「中間報告」

地球規模で日米軍事一体化

 日米両政府の外交・防衛の担当閣僚で構成する日米安全保障協議委員会は十月二十九日、在日米軍の再編・強化を内容とする「中間報告」をまとめました。そこには、ブッシュ米政権の先制攻撃戦略の下で世界に展開する米軍を、自衛隊が「補完」することをうたっています。日米同盟の地球的規模への拡大、日米の軍事的一体化、在日米軍基地の強化がそのねらいです。


在日米軍の再編強化自衛隊、米軍を「補完」

沖縄のおもな基地再編案 おもな米軍再編案 アメリカはいま、「ならず者国家」「テロ」「大量 破壊兵器」に対抗するという名目での先制攻撃戦略を推し進め、それに即応した軍事態勢の再編を進めています。

 中間報告で、「日米同盟」は最大の要と位置づけられ、アメリカがアジア太平洋地域で軍事介入する「周辺事態」とともに、地球規模で両国が軍事協力を進めることを確認しました。(1)ミサイル防衛やテロ対策(2)情報、監視、偵察活動(3)補給、整備、輸送などの後方支援活動(4)民間港湾、空港、道路、水域・空域、電波の使用―などを盛り込んでいます。

 米軍と自衛隊の一体化では、基地の共同使用や米軍と自衛隊の共同司令部の新設を打ち出しています。基地使用でも、指揮系統でも、訓練でも、運用でも、一体的に活動し、一体になって世界各地の紛争に介入する態勢づくりを進めようというのです。

 具体的な再編では、(1)横田基地への共同統合運用調整所の新設と航空自衛隊司令部の移転(2)キャンプ座間への米陸軍と陸上自衛隊の新司令部の設置―などをうたっています。これは、憲法改悪と直結する動きにほかなりません。


納得できない白紙撤回めざす

自治体・住民が猛反対

 米軍基地再編案が地元の合意なしに勝手に決められたことにたいし、基地のある自治体首長は猛反発しています。

 厚木、横須賀基地を抱える神奈川県では、「到底、承服できない」(松沢成文知事)、「恒久化以外の何物でもない」(星野勝司・座間市長)、「もう基地は返上したい」(小川勇夫・相模原市長)、「突然通知され遺憾。納得できない」(蒲谷亮一・横須賀市長)と憤っています。

 岩国基地のある山口県では「騒音のたらい回し」(二井関成知事)、「白紙撤回をめざす」(井原勝介・岩国市長)と批判があがっています。

 全国で一番基地の多い沖縄県では「絶対容認できない」(稲嶺恵一知事)、「受け入れられない」(岸本建男・名護市長)と不満が噴出しています。


基地恒久化許さない

横田基地包囲行動 怒りの声

 住民も反対運動に立ち上がっています。横田基地のある東京都福生市で十一月五日、「米軍基地をなくそう! 11・5横田基地包囲行動」が取り組まれ、都内ほか関東各地から三千五百人が参加しました。主催は、労働組合、市民団体などでつくる実行委員会。

 堤敬実行委員長が「住民は朝も夜も爆音に悩まされ、不安に過ごしている。いつでもアメリカの戦争に参戦できる体制づくり、基地の恒久化を許さない壮大な運動を展開しよう」とあいさつ。新横田公害訴訟団、安保破棄中央実行委員会が連帯のことばをのべました。

 沖縄県宜野湾市の伊波洋一市長による「全国の米軍基地を抱える市町村や地域から基地強化・恒久化の反対の声をあげていこう」との連帯メッセージが読み上げられました。

 集会では「在日米軍変革・再編計画の中止! 軍民共用化反対! 基地のたらいまわしはやめろ! 自治体・住民を無視した中間報告の撤回を求めます」とするアピールを採択しました。

 集会後、参加者は、横田基地を包囲するようにパレード。「憲法改悪を許すな、九条を守ろう」「自衛隊はイラクから撤退せよ」の声を響かせました。

(新聞「農民」2005.11.21付)
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2005年11月

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