「農民」記事データベース20051114-708-07

WTO香港閣僚会議

何が問題になっているのか


「見せ金」の補助金削減で他国の市場開放を強要する

 国内支持をめぐってもアメリカのダブルスタンダードが問題になっています。アメリカは今、二〇〇七年農業法を検討していますが、その行方に影響を与えることをWTOで決められては困るという態度です。

 自分は他国の農業政策に影響を与えることをWTOで決めろと要求し、現にそうさせていながら、アメリカだけはその例外だ、アメリカが農業政策を決めるのだから、おまえらはだまっていろ――こんな話が通るはずはありません。

 米国産品輸出にWTOを利用…

 アメリカは、十月十日の非公式閣僚会議に、自国の国内補助金を六〇%削減する提案を行いました。アメリカのNGOの分析では、六〇%カットは痛くもかゆくもないレベルだということです。それなのにアメリカは、日本やEUに対して、自国の削減率を上回る八三%の国内補助金の削減を要求しています。

 さらにジョハンズ農務長官はこの提案の二日後、「世界の人口の九五%はアメリカの外に住んでおり…輸出拡大こそが最大のセーフティーネットだ。われわれは、アメリカ産品に対する市場の開放を強制するためにWTOを利用せねばならない」と豪語。「見せ金」の補助金削減で他国の市場開放をも強要する、二重三重に乱暴な態度です。

 食糧主権のルール確立の場に

 この国内支持と輸出補助金についてのビア・カンペシーナの立場は明確です。七月に世界のNGOと一緒に発表した共同声明では、「食糧主権を守るためにどの国も国内支持を行う権利がある。しかしアメリカやEUは…アグリビジネスに補助金を与え…ダンピングを行い、輸出から得られる利益だけを求めている」と批判。「国内の需要に応え、食糧生産を守り、発展させていくことは基本的な権利である。食糧を『輸出する権利』はない」と指摘し、「生産コストを下回る価格での輸出に対するすべての公的支援の禁止」を求めています。

 この共同声明には農民連も署名しています。私たちは香港でビア・カンペシーナと一緒に行動します。香港を、WTOに代わる食糧主権のルールを確立する突破口にしたいと強く思っています。

(新聞「農民」2005.11.14付)
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2005年11月

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