国民の命と健康を優先、米国産牛肉受け入れるな食健連、農民連が緊急行動
「危険なアメリカ産牛肉の輸入再開にお墨付きを与えるな」――食品安全委員会プリオン専門調査会が答申案をまとめた十月三十一日、全国食健連と農民連は、同委員会のある東京・赤坂の駅前で緊急宣伝行動にとりくみました。 農民連の笹渡義夫事務局長は、農民連・食健連の訪米調査で明らかになった、飼料規制や危険部位の除去など、企業任せでズサン極まりないアメリカの実態を告発。「世論調査でも七割が解禁に反対しており、輸入禁止を続けるべきだ。アメリカや食品企業の利益よりも国民の命と健康を優先するよう、政府に要求しよう」と訴えました。 行動がとりくまれた赤坂の周辺は、高層ビルに囲まれたビジネス街。輸入反対を訴えるチラシが次々と通勤途中のサラリーマンの手に。駆け寄って受け取る若い女性や宣伝カーに手を振って激励する女性の姿もありました。特大の横断幕、着ぐるみの牛も登場。この様子は、NHKも同日昼のニュースで報じました。
答申案の安全性の条件汚染度高いアメリカ守られる確証はない〈解説〉プリオン専門調査会が答申案をまとめたことを受けて、翌日の新聞各紙は「十二月にも輸入再開」と書きたてました。また、大手商社や牛丼チェーンなどが再開を見越して、アメリカ産牛肉の買いつけに動いている様子も報道しています。しかし、本当に安全なのか、再開しても大丈夫なのか―。答申案は、二十カ月齢以下の牛に限り、危険部位 (脳やせき髄など)を除去するなどの条件を守れば「リスクは非常に小さい」と評価しましたが、条件が守られない場合には「評価結果 は異なったものになる」とし、「いったん輸入を停止することも必要」と注文しました。答申案がわざわざこう書き加えたのは、アメリカのBSE汚染度が日本よりも高く、かつ、条件が守られるという確証がないからです。 答申案は、アメリカの汚染度(生体牛リスク)を日本と比べて「悲観的には十倍程度高い可能性がある」と指摘。とくに飼料規制がズサンなことからBSEのリスクが増幅するシナリオも検討しています。アメリカでは牛の肉骨粉を豚や鶏のエサにしてもよく、また鶏フンを牛に与えてもよいことから、BSEのサイクルが現在も続いています。 仮にアメリカが広く汚染されていたとしても、二十カ月齢以下などの条件が守られれば安全というのが政府の言い分。しかし答申案はこれに対し、「守られていれば…」という仮定のもとでは「科学的に評価するのは困難」と答えました。 政府は、条件が守られているかどうか、職員を派遣して査察すると言っていますが、その体制も極めて不十分です。農水・厚労両省の職員がこれにあたりますが、約四十カ所になるとみられる日本向けに輸出する食肉処理場を丹念に見ることは到底不可能。せいぜい現地に行って書類に目を通すのが関の山です。 マスコミは政府と一緒になって輸入再開を既定路線のように報じて、あおっていますが、まだ答申案は“案”です。答申になるのは一カ月先、その間に国民から意見を募集し、意見交換会も開かれます。まずはここに圧倒的な「輸入再開反対」の声を届けることが重要です。そして、最終的に判断する政府にも「反対」の声を集中するとともに、“危険な牛肉を食べない、学校給食などにも使わせない”という大きな国民世論で、アメリカ産牛肉を追い出していくことが求められます。
食安委が意見募集各地で意見交換会意見募集は11月29日まで、郵送、ファクス、ホームページで受け付けています。同委員会の住所は、東京都千代田区永田町2―13―10プルデンシャルタワー6階 Tel03(3591)2236 ホームページはhttp://www.fsc.go.jp/意見交換会は11月14〜22日(札幌14日、大阪15日、仙台16日、福岡17日、広島18日、名古屋21日、東京22日)に開かれます。
(新聞「農民」2005.11.14付)
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[2005年11月]
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