食品安全委員会プリオン専門調査会の答申案について二〇〇五年十月三十一日 農民連佐々木健三会長が談話
一、農林水産省、厚生労働省からの諮問を受け、アメリカ、カナダからの牛肉輸入の安全リスク評価を審議している食品安全委員会プリオン専門調査会は十月三十一日、答申案をまとめた。 一、答申案は、両国の「データの質・量ともに不明な点が多く、管理措置の遵守を前提に評価しなければならなかった」とし、「米国・カナダのBSEリスクを科学的に評価することは困難と言わざるを得ない」と結論づけた。 同時に、「リスク管理機関(農水・厚労省)から提示された輸出プログラム(全頭からのSRM除去、二十カ月齢以下の牛)が遵守されるものと仮定すれば、輸入される牛肉のリスクは非常に小さいと考えられる」、さらには「前提の確認はリスク管理機関の責任であり、守られなければ評価結果は異なったものになる」とも指摘している。 一、科学的知見による評価を任務とする調査会が「科学的に評価することは困難」と結論せざるをえなかったにもかかわらず、守られるかどうか確証のない条件が「遵守される」という仮定に基づいて「リスクの差は非常に小さいと考えられる」としたことは、独立機関としての食品安全委員会に対する国民の信頼を失わせるものである。 輸入解禁の露払いを食品安全委員会にやらせようとした政府の責任は重大である。この答申案を口実に、政府がアメリカ産牛肉の輸入再開をもくろむことは断じて容認できない。 一、答申案は、四週間のリスクコミュニケーション(意見募集)にかけたうえで改めて食品安全委員会で審議され、農水省、厚労省に答申される。 アメリカ・カナダのBSE対策がズサン極まりないことは、政府がどんなに言いつくろっても、おおいかくすことのできない事実である。また、国民世論の多数は「アメリカ産牛肉の輸入反対」である。 アメリカと外食産業の利益を、国民の命と安全よりも優先することは絶対にあってはならない。たたかいはこれからである。農民連は、リスクコミュニケーションの場などを通じて引き続きアメリカ産牛肉の危険性を暴露し、広範な国民と連帯して、輸入再開に反対する世論と行動を広げるために全力をあげる。同時に国民の食の安全に責任を負う農民組織として、安全な食料の生産に力をつくすものである。
(新聞「農民」2005.11.14付)
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[2005年11月]
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