「農民」記事データベース20051107-707-19

旬の味


 十一月のモンゴルは、日中の気温も零度を下回り、まるで冷凍庫。家畜を解体して越冬用食糧を貯蔵するには最適の時期となる。今まで大切に育てた牛や羊、ヤギは肉、内臓、血の一滴にいたるまですべて大切な食料となる▼「殺されたところから生まれよ」―モンゴルの遊牧民が家畜を殺す時に行う儀式で必ず口にするフレーズである。死を終わりではなく新たな命の始まりと考え、自分たちの命のために死んでいく家畜たちへの敬意と感謝を込めた言葉だ▼残念ながら、私たちが食べる多くの肉は、モンゴルの家畜ほど幸せではない。大量生産、大量消費、グローバル化のなかで、家畜はただ太るためだけに生かされ、殺される。その肉は飽食社会では感謝されることなく食べ残され、捨てられる。そのしっぺ返しがBSEや鳥インフルエンザだ▼私たち人間が健康に生きるためには、その命をつないでくれる家畜の命を認識することが必要だ。健康に飼育された家畜の肉は、私たちの体内に健康な命として受け継がれる。

(歩)

(新聞「農民」2005.11.7付)
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2005年11月

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