「農民」記事データベース20051107-707-07

ミニマム・アクセス米輸入枠拡大・関税引き下げ

許せぬ「WTOへの提案」

農民連代表 怒りこめ農水省を追及


 「日本政府自身がWTOに対してミニマム・アクセスを百万トンに増やすという提案をしている。これは『ミニマム・アクセス米を減らす』という約束を裏切り、米価暴落にいっそう拍車をかけるものだ」――二十六日に行われた「WTO」の交渉では、農民の苦しみをまったく考慮しない農水省に、参加者の怒りが爆発しました。

 農民連の真嶋良孝副会長は、日本・韓国・スイスなど食料輸入国でつくる「G10」グループが十月十日にWTOに提出した提案のなかで、米を含む「重要品目」について、輸入枠拡大と関税引き下げの両方を提案している事実を告発。「いったい、誰がこんな提案を作ったのか」とただしました。

 この提案にもとづけば、現在四九〇%相当の関税をかけている日本の米は、仮に一五%の関税削減を受け入れたとしたら、MA米は一五%増えることになります。また、関税を維持した場合のMA米の増加率は三〇%、二十二万トンも増えて百万トンに近づくことになります。(表)

日本を含むG10の「重要品目」提案

 しかもアメリカやブラジルは、関税の上限を七五%〜一〇〇%にすることを要求しています。かりに四九〇%の関税が一〇〇%に下がれば、現在、一俵(60キロ)二万三千円の輸入米が八千円以下でなだれこむことになり、日本の稲作壊滅は必至。

 農水省側は「G10の中心は日本だ」として、日本政府が中心になってミニマム・アクセス拡大提案を作ったことを認めたうえで、「譲るべきは譲る提案をしなければ、交渉から仲間はずれにされる」などと言い訳。「競争力のある国産品、ジャパンプレミアムで輸入農産物に対抗できるはず」と、まるで日本の農民が何も努力しないから悪いと言わんばかりに開き直りました。

 参加者は「譲るべきは譲るなどと言って、泥沼の譲歩の道を歩むのか」「今でも積み上がっているMA米をこれ以上増やすのか」と詰め寄りました。

 「この低い自給率で、もし食料輸出国がカゼをひいたらどれほどのダメージを受けるかしれたものではない」と村尻勝信常任委員。「真っ先にダメージを受けるのは農民。だからWTOから農産物をはずせと要求しているのだ」と強く抗議しました。

 「私たちの立場にたってほしい。あんたらだって日本の米を食べているのでしょう?」という富山県の小林定雄さんの声には、あきらめずにがんばってものをつくり続ける農民の怒りが込められています。

(新聞「農民」2005.11.7付)
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2005年11月

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