「農民」記事データベース20051107-707-05

食品安全委

米国産牛肉輸入再開へ道

矛盾に満ちた答申案


 アメリカ・カナダ産牛肉のリスク(危険性)を審議している食品安全委員会プリオン専門調査会は十月三十一日、「リスクを科学的に評価することは困難」としつつ、“上乗せ条件”(二十カ月齢以下、全頭からのSRM除去)が順守されると仮定すれば、両国から輸入される牛肉と日本の牛肉の「リスクの差は非常に小さい」とする矛盾に満ちた答申案をまとめました。

 これは、両国の牛肉輸入再開に道を開くもの。食品安全委員会は、この答申案を約一カ月間のリスクコミュニケーション(意見募集)にかけたうえで、農水・厚労両省に答申します。朝日新聞の世論調査では、輸入再開に「反対」が約七割に達しており、この国民の声を真しに受け止めて、答申案を再考すべきです。

 答申案の「リスクの差は非常に小さい」という評価は、輸入再開を急ぐ日米両政府の意向にそってまとめたもの。逆に「リスクを科学的に評価することは困難」という文言は、審議にあたった委員の“科学者の良心”として盛り込まれました。評価が「困難」な理由として、両国のデータの不足と、まだやられていない“上乗せ条件”の「順守を前提に評価せざるを得なかった」ことをあげています。

 こういう矛盾した答申案になったのは、「仮定」を前提にした政府諮問の責任。「科学的評価は困難」というのは、そもそも答申の名に値しないものであり、この答申案を口実にしてアメリカ産牛肉の輸入再開に乗り出すことは絶対に許されません。

(新聞「農民」2005.11.7付)
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2005年11月

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