「農民」記事データベース20051031-706-04

WTO香港閣僚会議

何が問題になっているのか

輸出補助金・国内支持


輸出補助金の廃止を要求
家族経営農家守る政策を

 (2)輸出補助金と(3)国内支持の問題を一緒に説明します。WTO農業協定のなかに、各国の農業政策や補助金にくちばしを突っ込む内政干渉条項が盛り込まれました。理屈は、貿易をゆがめる可能性のある各国の農業政策についてはWTOが一定のルールを作り、律するということです。

 れっきとしたダンピング輸出

 これには二つの側面があります。一つは、各国の農業政策について、多国籍企業の利益代表であるWTOが貿易屋の論理で律する、そのために内政干渉をやるということ。つまり食糧主権の否認という側面です。

 もう一つは、「北」の農産物輸出大国が国内補助金を「隠れた輸出補助金」として使うことに対して、発展途上国が廃止を要求しているという側面です。

 例えば、アメリカの小麦の生産費が百円だとします。これが六十円で輸出され、差額の四十円は不足払いという形で農民に補てんされる。形のうえでは価格保障ですが、れっきとしたダンピング輸出です。そして安く輸出された農産物が他国の農業を壊す。輸出国の場合、国内補助金は輸出補助金という性格を持たざるをえません。

 アメリカとEUはこれを盛大にやっています。特に一昨年、西アフリカの貧しい国々の綿が、アメリカの輸出補助金付き綿花のダンピング輸出で市場を奪われ、全然売れないと大問題になりました。いまだに決着がついていません。この輸出補助金をやめろというのが、すべての発展途上国の要求になっています。

 食糧主権に反するWTOの条項

 これは文字通り貿易歪(わい)曲的な補助金ですから、私たちも廃止を要求します。同時に、各国がどういう農業政策をとるかという問題は、食糧主権に属する問題です。ダンピング補助金と家族経営維持のための補助金の明確な区別が必要です。そのうえで、食糧主権に反するWTOの条項は見直し、各国の家族経営農家を守るべきだというのが、私たちの要求です。

(新聞「農民」2005.10.31付)
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2005年10月

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