「農民」記事データベース20051031-706-02

食健連、農民連
農水省前で座り込み

危険な米牛肉の輸入許すな
輸入再開の諮問すぐ撤回を

農水省交渉、食品安全委に要請


 ブッシュ来日で解禁問題が緊迫

 「国民の生命と健康をブッシュ大統領への手土産にするな」――。BSEの発生でストップしているアメリカ産牛肉の輸入解禁問題が緊迫しています。食品安全委員会プリオン専門調査会は十月二十四日、答申案の大詰めの審議をおこない、小泉内閣は国民の不安を顧みることなく、十一月中旬のブッシュ来日までにこの問題を解決しようと急いでいます。全国食健連、農民連は二十日、「危険な牛肉の輸入を許すな」「農水省は輸入再開の諮問を撤回せよ」と、農水省の前で座り込み行動を行い、約百人が参加。同省と食品安全委員会に対して要請しました。

 佐々木健三・農民連会長は「日本がBSEパニックに陥っているときにアメリカの食肉業界は風評被害をまきちらした張本人。その言いなりに輸入を解禁することは断じて許せない」とあいさつ。群馬農民連の住谷輝彦さんは「世界に誇る全頭検査のもとで、現場の獣医師は誇りをもって仕事をしている。安全対策がずさんなアメリカの牛肉を輸入することは、この努力を踏みにじるものだ」と指摘しました。

 畜産が盛んな宮城県大郷町から参加した千葉勇治さんは「アメリカ産牛肉が輸入されれば消費者の牛肉離れが再燃しかねず、和牛生産は間違いなく影響を受ける」と心配します。また、大阪からかけつけたBSE市民ネットワークの寺岡敦子さんは「危険だとわかっているのに輸入するのは、薬害エイズと同じ。経済優先、アメリカ言いなりではダメだ」と政府の姿勢を批判しました。

 農水省との交渉では、日本農業を守ることが役目であるはずの農水省が食の安全を投げ捨て、農家経営に打撃を与える輸入解禁を食品安全委員会に諮問していることに批判が集中しました。

 群馬県長野原町で百頭の牛を飼う酪農家の牧山信さんは、輸入解禁の憶測報道でオスの乳牛の価格が三分の一に暴落していることを指摘し、同省

の対応を追及。また、笹渡義夫・農民連事務局長は「食の安全を守るには、今とりうる最大限の対策をとることが大事だ」と述べて、「諮問は今すぐ取り下げるべきだ」と要求しました。

 食品安全委員会への要請で参加者は「地球上から完全にBSEを根絶する立場で、アメリカ産牛肉の輸入解禁を阻止してほしい」と訴え。

 それに対して、担当課長補佐は「マスコミは騒いでいるが答申は、まだ確定したわけではない」と回答しました。佐々木会長は「規制があっても守られなければ意味がない。“…たら”“…れば”という仮定で輸入解禁に踏み切るべきではない」と指摘し、「国民は、委員会に大きな期待を寄せている」と伝えました。

(新聞「農民」2005.10.31付)
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2005年10月

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