本の紹介中田謹介・著「猫めぐり日本列島」
猫と農業そして人間の付き合いを探る紀行文猫と農業―みなさんは、どんなつながりを連想しますか。著者の中田さんは、長年、農山漁村文化協会で江戸期の農業書の復刊をする仕事をしてきました。その際、当時の養蚕技術の指南書のさし絵に、猫がよく登場しているのに気付きました。養蚕になぜ猫が?この疑問は、退職後、埼玉・秩父地方を旅して解けました。そうです!養蚕の大敵は、まゆや蚕を食い荒らすネズミです。そこで猫が登場、ネズミたちを追い払ってお蚕さまを守っていたのです。そういえば、農家には必ずと言ってもいいほど、猫がいましたよね。 この猫たち、養蚕の盛んな地方では、「神」にまであがめられているのです。中田さんは、ここからヒントを得て、猫と人間の付き合いの歴史探訪の旅に全国へ出かけました。その紀行文をまとめたのが、この本です。 北は、岩手県浄法寺町の「恩返しネコを祀る福蔵寺」から、南は沖縄・宜野湾市の「怪猫のすんだ洞窟はいま?」まで、全国四十六カ所の神社やお寺、記念館やお祭りまで、よくもこんなに猫と人間の付き合いが深かったのか、と関心しきりです。猫好きはもちろん、「そういえばうちにも猫がいたな」という人も、この本を読んであらためて猫をじっとみつめ、感謝してもいいのでは。 (筑波書房 2200円)
(新聞「農民」2005.10.24付)
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[2005年10月]
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