この人
長野・阿南町で自然養鶏を営む
伊豆 光男さん(55)光枝さん(56)
快活な姿に“自然のパワー”
「農業はいいですよ」って、会う人ごとに言っているそうです。
自然豊かな伊那谷で、養鶏を主体に営農。地名の御田洞から「みたぼら農園」と名づけて、自然卵や卵油、ジャムなどの加工品を販売しています。
十八年前まで光男さんは横浜の石油関連会社、光枝さんは新宿高層ビル街の損保会社で働いていました。結婚を機に退職して就農。理由は「自然破壊をしていそう」(光男さん)「一流大学を出ても全然幸せそうでない」(光枝さん)でした。
最初は長野県小谷村へ、二年後に阿南町へ移ります。「豪雪に耐えかねて、あちこちの役場に手紙を出したら、阿南町の町長さんが親身になって土地を探してくれたんです」
二人の娘さんが生まれ、本格的に養鶏を始めました。今では、通信高校で学ぶ、はる菜さん、より夏さんも加わって一家四人、生産から加工、販売・宣伝まで力を合わせます。
卵と一緒に「みたぼら通信」をお客さんに隔週で届けています。これをまとめた『我らゆっくり夢農業』(川辺書林)が〇二年に出版されました。自然とのふれあい、自然に働きかけて生きるさま、家族のきずなや生命へのいつくしみ…通勤電車の中で思わず「うんうん」とうなずく話がいっぱいです。
農民連のことは、お客さんに新聞「農民」を勧められたことから知りました。その後、入会。「小さい農家が助け合い、工夫していることがすばらしい」と話します。
「農業を始めて視野が広がりました。それに農業は安定した業種。だって千年後にトヨタがあるかしら?」「農業は、若い人もお年寄りも使い捨てられることがない。雇われていたときとは一生懸命の質が違いますよ」―快活な姿に“自然のパワー”を感じました。
みたぼら農園のホームページは、http://www.azumino.matsumoto.nagano.jp/omise/mitabora/
(新聞「農民」2005.10.24付)
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