「農民」記事データベース20051024-705-04

東京農民連

米国産牛肉輸入解禁許すな

BSEなど「食の安全」で学習会

関連/盗っ人猛々しい牛肉解禁論


 東京農民連は十月九日、立川市民会館で「BSEや外国産野菜など―食の安全問題の学習講演会」を開催。農民連会員をはじめ、新日本婦人の会、都職労経済支部、東都生協、母親シャボン、母親連絡会などから四十二人が参加しました。(写真〈写真はありません〉

 初めに、ビデオ「ノーモアBSE」を上映し、続いて、石黒昌孝・農民連食品分析センター所長が「どんどん変わる輸入農産物とその安全性について考える」と題して講演。アメリカのずさんなBSE対策の実態を明らかにし、それにもかかわらずアメリカの圧力に屈して輸入を再開しようとしている日本政府を批判。「“アメリカ産牛肉の輸入解禁を許すな”の世論を盛り上げよう」と訴えて、食健連の「食品安全委員会への要請はがき」のとりくみを呼びかけました。

 参加者からは「食パンの原料となる輸入小麦は大丈夫なの?」といった質問が出され、活発に討論しました。

(東京農民連 斎藤勇)


盗っ人猛々しい牛肉解禁論

 米国食肉輸出連合会のフィリップ・セング会長は、アメリカ産牛肉の禁輸によって「両国で十一万人が失業し、約百十億ドル(一兆二千億円)の経済損失が発生した」と発言。また、一部の上院議員はライス国務長官に対日圧力を強めるよう書簡を送り、「アメリカ牛肉産業は一カ月当たり一億ドル(百十三億円)の損失を被っている」と述べたそうです。どちらも日本に早期輸入再開の圧力をかけるねらいですが、しかし“盗っ人猛々(たけだけ)しい”とはこのこと。多大な損失をもたらした張本人は、全頭検査の実施を拒んでいる彼ら自身だからです。

 アメリカ牛肉業界は、「コストがかかるから」と一貫して全頭検査を拒否してきました。しかし、日本で年間百三十万頭のと畜牛を全頭検査するのにかかる費用は三十億円。一頭当たりでは二千三百円に過ぎません。これにアメリカの年間と畜頭数、三千五百万頭をかけると約八百億円。これをケチったばかりに、その十倍以上の「経済損失が発生した」というのが真相です。

 十月五日、マスコミは前日開かれた食品安全委員会プリオン専門調査会を「アメリカ産牛肉輸入再開へ」といっせいに報じました。これで吉野家の株価が一気に上昇。その吉野家など約八百社の外食企業が加盟する日本フードサービス協会は、三年間で約三千五百万円の献金を歴代農相をはじめ自民党農林族に渡し、輸入再開を働きかけてきました。そして細田博之官房長官は五日、マスコミの憶測報道に「政府として歓迎する」と発言。“既定路線”だと思い込ませる世論誘導がみえみえです。

 こうした金もうけのために食の安全や人の健康をないがしろにする企業とそれを応援する悪政をこの秋の運動で大きな世論をつくり、包囲していくことが求められます。

(新聞「農民」2005.10.24付)
ライン

2005年10月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2005, 農民運動全国連合会