野菜暴落
ブランド枝豆がセール品に!
冷凍野菜輸入激増が一因
現地(中国)生産の主は日本巨大食品会社
低い生産コスト利用、安全よりもうけ第一
今年の山形・鶴岡産「だだちゃ豆」の価格は、一袋(二百五十グラム)なんと百九十八円まで下落。地元では、「一昨年、昨年と二年続きの不作に泣き、『今年こそは』との思いが通じて豊作になったというのに、前年の四百八十円に比べて半値以下だ…」とガッカリ。同様に、新潟茶豆も苦戦。「日本農業新聞」は、「ブランド商品が、初めてセール品に。豊作に輸入品追い討ち」と報じました。「だだちゃ豆」や新潟茶豆の価格暴落の原因は、輸入冷凍エダマメです。
7割近くが中国から輸入
生鮮野菜の輸入も急増していますが、冷凍野菜を含む加工野菜の輸入も負けてはいません。野菜全体の輸入量
は、〇四年で約二百七十六万トン。このうち生鮮野菜が約百二万トン(全体の三六%)、冷凍野菜は七十九万トン(同二八%)で、冷凍野菜の占める割合は年々上がっています。
冷凍野菜の七割近くは中国から輸入していますが、表1からもわかるように、輸入量
は〇二年、〇三年と若干減少しました。これは、農民連分析センターが、輸入冷凍野菜の残留農薬違反を摘発したことがきっかけ。中国野菜は“毒菜”と言われ、その危険性が社会問題化しました。
しかし一時的に減少した輸入量は、昨年夏ごろから回復。冷凍ホウレンソウの輸入量は、昨年八月以降、激増しています(表2)。中国政府は、輸出野菜対策として輸出野菜産地の審査・登録制度を導入。栽培履歴を明確にできない零細農家は淘汰(とうた)され、企業的な農家が増加しているそうです。
日本の大手食品会社などは、生産コストの割安な中国に相次いで進出。「亜細亜食品」の山東省にある冷凍野菜工場では、「白衣を着た日本人社員が、小型ビデオを抱えてヘッドホンから聞こえる声に従い工場内を歩き回っている。その映像を見ながら指示を出しているのは、工場から一千キロ離れた日本の顧客企業のバイヤーだ」(日経ビジネス)という報道もあります。また「味の素」は、中国アモイにエダマメを主流にした冷凍野菜工場を設立(〇四年四月)。これまでは農家に委託していた野菜生産を「自営農場」(メーカーが農場を指定、社員が農薬使用などを常時監視)での生産に切り替えたといいます。
しかし、ここまでやるなら、なぜ安全な国産野菜を使わないのか。“もうけ”の前には、日本の農家が汗水流して生産した野菜が価格暴落で「産地廃棄」されようが、どうでもいいこと。中国の農家を金でつって、都合が悪くなれば使い捨ててもかまわない――こんな企業の悪徳がいつまでも続いていいはずがありません。
こういう時こそ、企業の“もうけ”を優先する政治ではなく、セーフガードの発動など輸入規制と価格保障で日本農業を守り、農家の経営を守る政治が求められています。
(新聞「農民」2005.10.24付)
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