急速にのびる地場学校給食地産地消と学校給食を考えるシンポ 京都
安全な府内産小麦使用さらに「地産地消と学校給食を考えるシンポジウム」が十月一日、京都市で開かれました。京都食健連などが実行委員会を作って開いたもので、約八十人が参加。「学校給食が地域と子どもを育てる」と題して、自治体問題研究所の竹下登志成事務局長が講演。また、学校給食調理員やアレルギーの子をもつお母さん、農家をパネリストに、各地の地場産学校給食のとりくみを交流しました。
一方通行ではなく竹下氏は、「田植えや農作業体験は、子どもたちに暮らしを実感させ、食料生産を身近なものにする」「地産地消は一方通行ではなく、安全な食物を提供することで作り手に誇りと元気が生まれる」と述べて、食育や地産地消の意義を強調。また、学校給食食材の県産比率を二六%から四七%に高めた鳥取県のとりくみを紹介しました。パネル討論では最初に美山町の給食調理員、波多野千恵美さんが発言。同町は、二十二年前から地場産の米や野菜を学校給食に取り入れ、現在は七人のお母さんの野菜生産グループが有機・無農薬の野菜を供給しています。「食べ残しはほとんどなく、子どもたちが『ピーマンが苦手だったけどだんだん好きになった』と手紙を書いて渡してくれる」と波多野さん。完熟トマトを丸かじりする収穫作業の様子なども紹介しました。
野菜の良さわかる柳原洋子さんの子どもは小麦アレルギーで、強力粉で作ったパンを食べられません。でも、「国産の薄力粉のパンなら食べられる」と柳原さん。「子どもたちは、おじいちゃんが作った安全な野菜を食べてきたおかげで、野菜の味がわかり、手作りのパンの良さも知っている」と語りました。三和町農業委員会の細見和己さんは、十四年前に始まり、約五倍に伸びている地場産学校給食の経過を発言。「最初は生産者と給食センター双方に不満があったが、農業委員会で話し合いを持ち、『家庭で作った最高の物を出す』ことを確認。また、何がどこにどれだけあるか、生産者を調査し、現在、少量多品目で六十品目ほどになっている」と報告しました。
要請署名広げよう会場からは、新婦人の会員が、府内産小麦のニシノカオリで作ったパンを学校給食に取り入れる運動を紹介。いま京都では、学校給食パンの原料の九割が輸入小麦です。参加者には、ニシノカオリ一〇〇%のパンが配られ、焼いたパン屋さんも発言しました。シンポの終わりには、地産地消のとりくみをさらに進めるとともに、当面、府内産小麦の使用割合を高める運動が提起され、要請署名を来年三月末に向けて広げることを確認しました。 (京都農民連 上原実)
(新聞「農民」2005.10.17付)
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[2005年10月]
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