「農民」記事データベース20051003-702-10

苦労して働いたのに なぜ野菜って安いの?

正則高校(東京)の生徒たち農業体験学習取り組む


農民連の6カ所に17人参加

 東京・港区にある私立正則高校では、毎年夏に、農業、保育、介護などの職業体験学習に取り組んでいます。

 六年前から農民連もこの取り組みに協力。今年は、北海道や山形、福島、茨城、静岡など六カ所で十七人の生徒を受け入れました。このうち、岡田冬人くんと先光利家くんは、茨城・阿見町の飯野良治さんのところで、また、島田敦子さんと内藤梓さんは、山形・鶴岡市の佐藤理恵さんのところで、農業体験学習に取り組みました。

 岡田くんと先光くんは、朝七時に起きて朝食をすませてから畑に出て仕事開始。「えー! 私たちは五時に起きてひと仕事してから朝食だったよ」という島田さんと内藤さん。

 岡田くんと先光くんの仕事は、レタス、ハクサイの種まきやオクラ、ナス、ピーマンの収穫、畑に敷いてあったビニールはがしなど。それに近くのスーパーに値段をつけた袋づめの野菜を届けに行きました。

 島田さんと内藤さんは、だだちゃ豆の収穫と種分け、袋づめ。虫食いのトウモロコシを包丁で切ったり、ナス、オクラ、ツルムラサキやジャガイモなどの収穫。漬物の仕方も教わりました。

 「一日目は、すごくきつくて、お腹もすぐにすいて」と島田さん。「ぐっすり寝れたよ」という先光くん。でも共通した悩みは、見慣れない虫たち。「最初は気持ち悪かったけど、『カエルは害虫を食べてくれるんだよ』って教えてもらったら、かわいくなっちゃった」のは、内藤さん。そして同じ思いは、「こんなに苦労して働いたのに、野菜ってなぜこんなに安いの? 普段は安いほうがいいと思っていたけど、体験しないとわからなかった」ということでした。

 岡田くんは、「体験学習の四泊五日は、とても楽しくおもしろく過ごすことができました。今回のことで、どれだけ農家がたいへんなのかよくわかりました」と、お礼の手紙に書きました。

 「人と人がどうつながって社会をつくっているのか、農業体験から見えてきたと思います。この体験が、生徒たちのこれからの人生選択にかならず生きてくる」と話す担当の神野英治先生。

 また、生徒を受け入れた飯野さんは、「とても素直な生徒たち。経済効率だけで物事を見ることがないよう、生産の現場で体験することは、すごく大事なこと。高校を卒業してからも遊びに来る子がいて、すごくうれしい」と話していました。

(新聞「農民」2005.10.3付)
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2005年10月

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