「農民」記事データベース20050912-699-02

国内二次感染拡大の恐れ

火傷病 日本の防除策は?

農水省 防除地域からの出荷制限せず

関連/農民連町田支部が発足


 りんご、梨などを冒す最重要病害である火傷病。これが万一、日本に侵入した場合、どのような防除対策がとられるのか―。農水省は火傷病検疫措置の「改正」案について国民の意見(パブリックコメント)を募集しましたが、これに対する同省の見解は国内二次感染の恐れが懸念されます。

 農水省は、国内で火傷病が発生した場合、(1)火傷病発生樹の周囲四十メートルの宿主植物を伐採(2)周囲五百メートルを重点防除地域に指定(3)宿主植物の移動禁止、薬剤散布を行うなどの「火傷病アクションプラン」を策定中。パブリックコメントへの見解では、「検疫措置における内外無差別の原則に従って、『成熟した病徴のないりんご果実』については、移動制限の対象になりません」と述べています。このため、重点防除地域からのりんごの出荷によって、他地域への二次感染が心配されます。

 火傷病の問題は、同病の発生国であるアメリカが、同国産りんごに対する日本の検疫措置をWTOに提訴し、日本が敗訴。農水省は、検疫措置を事実上撤廃し、果実の成熟度検査のみを行う「改正案」を八月二十五日に施行しました。早ければ十二月にもアメリカ産りんごが輸入再開されます。

 農水省は火傷病発生園地からでもアメリカ産りんごを輸入するのだから、国産りんごも移動制限できないとしたのでしょうが、これは「内外無差別の原則」の明らかな履き違い。納得のいかないアメリカの主張を無理やり飲み下そうとして、国内にも同じ措置を当てはめる必要はありません。それによって国内二次感染の危険性を拡大することは許されません。

 火傷病を防除し、農家の経営を守るには、果実の移動も禁止して、その損失をすべて補償させることが必要です。

(青森県農民連 須藤宏)


農民連町田支部が発足

産直発展などの方針確認

 東京農民運動連合会(東京農民連)町田支部の結成総会が八月十六日、町田市で開かれました。現在の会員数は八人で、このうち五人が農家会員です。

 同市では、三年前の〇二年八月に支部準備会が発足。市内の農家と消費者が手を組んで進めている「町田の農業を考える会」と共同して農産物の販売活動などにとりくんできました。

 総会では、こうした活動とともに新婦人産直をさらに発展させることなど運動方針を確認。また、生産緑地の追加指定の基準面積の引き下げを求める署名運動、北部丘陵地域の農業振興を中心としたまちづくりの推進など、熱心な討論が行われました。

 来ひんとして、東京農民連の秋間市郎副会長、町田地区労働組合協議会の三浦大副議長、新日本婦人の会町田支部の土屋卓子支部長が参加。期待を込めたあいさつがありました。

 役員には、支部長に田中仁司、副支部長に大谷知、事務局長に斎藤勇の三氏が選ばれました。

(斎藤 勇)

(新聞「農民」2005.9.12付)
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2005年9月

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