「農民」記事データベース20050912-699-01

大手卸中心の米流通が強まるなか

もう一つの流れ“準産直米”を広げよう

米屋さんと生産者をつなぐ交流会 東京

 「農家がどんな思いで米づくりをしているのか、米屋さんを通じて消費者に伝えていきたい。政府の『米改革』で厳しい米情勢だからこそ、農民連の出番」―。作る農家の顔が見えるお米を、卸やお米屋さんを通じて消費者に届ける準産直米の運動に取り組んでいる農民連ふるさとネットワークは八月二十八日、東京都文京区で「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」(東京会場)を開催。過去最高の百五人の米業界関係者が出席するなど、参加者は二百人を超えました。


ネット生かし生産者とのつながりを大切にしたい

 親せきのような信頼関係を築く

 主催者あいさつをした、ふるさとネットの堂前貢代表は「『米改革』は、農家はもとより、お米屋さん、中小卸を淘汰(とうた)し、お米を一部の大手卸や大企業のもうけ口にする改革。これに対抗する“もう一つの流れ”準産直米を広げよう」と呼びかけました。

 来賓あいさつでは、日本米穀小売商業組合連合会の長谷部喜通理事長が「農家と米屋が親せきのような信頼関係を築くことが大事。生産者と交流し、農民連と協力しながら販売していきたい」とのべ、東京城南食糧販売協同組合の西宮章次理事長は「安全・安心、おいしさを求める消費者のために、農民連のネットワークを生かしていく必要がある」と強調しました。

 東北・北海道ネット、関東ネット、北陸ネットの各代表が、各地の取り組みのもようや各産地の稲の生育状況を報告しました。

米づくりの思い 米屋さんを通して消費者に伝えたい

 会場内で自由に意見交換、交流  意見交換では、西東京米穀店経営研究会の金井一浩幹事長が「農民連とは、米の取引だけでなく、産地訪問、イベント開催などに取り組んでいる」と活動を紹介しました。その後、会場内では、生産者、お米屋さんが自由に交流。各所で名刺交換が行われ、各産地の状況や生育具合を聞き取り、生産者、お米屋さんのそれぞれの思いを熱心にメモをとる姿があちこちで見られました。

 展示コーナーでは、各産地から持ち寄られた特産品が並べられました。「米と同じ産地の農産物加工品なども紹介できれば、客との話題が広がり、結果として米の信頼につながる」「いい農産物を出す産地は、米も同じだろうと受け取ってくれる」と、お米屋さんに大好評でした。またお米の試食コーナーでは、新潟コシヒカリBL米や新種のちば28号、千葉のふさおとめなどを味わっていました。

 おいしい米届けられるのは誇り  第二部の懇親会では、東京都米穀小売商業組合文京支部の渡邉弘支部長が乾杯の音頭。テーブルに並べられた各地の地酒や料理を堪能しながら、交流を深めました。

 農民連の佐々木健三会長が「大勢の参加者で大成功でした。きょうの交流が、米屋さんにとって、そして私たち農家にとっても、お互いに大きな励みになったと確信します」と閉会あいさつ。

 西東京市から参加した「お米ひろば野口屋」の野口晃専務は「安全・安心、おいしいお米をお客さんに届けることは米屋の誇り。ふるさとネットや生産者とのつながりの大切さを交流会で再確認した」と語っていました。


米屋さんとじかに話せてよかった

 埼玉県大利根町の米農家・塚田静男さん(58)

 米をめぐるいまの情勢がよくわかりました。原油の高騰でトラクターなど、コストがかかります。毎年収入減で、このままだと機械さえも買えなくなります。米をできるだけ高く売りたいのですが…。地域によっても米の売れ方が違うので、それに合わせた売り方をしなければなりません。きょうは、直接対面の機会がもてなかった小売りの人とじかに話せてよかった。

生き残るため交流は必要

 東京都足立区の(有)ライスショップスズキの鈴木秀男さん(50)

 これから先、この業界をどのようにしていけばよいのか勉強したいという思いで初めて参加しました。私たちは、生産者と消費者とを結びつけるパイプラインの役割を担っています。農家との交流は、生き残っていくためにも必要です。米づくりや日本の食文化を残し、次世代に引き継いでいかなければなりません。きょうの交流が、次世代につなげる一つのきっかけになったのではないでしょうか。

良質の米を消費者に伝え少しでも高く

 東京都江戸川区の(有)山久増田米店・増田則行専務

 こうした交流はありがたい。農家の顔が見えるのはいいことです。おいしいお酒とごちそうもよかった。農家が丹精込めて作った良品質の米を、その良さを消費者に伝えて、少しでも高く買ってもらいたい。米だけでなく、野菜など農産物全般にもいえることです。

自分の米を責任をもって売らないと…

 北海道今金町・今金農民組合産直センターの村本照光さん(55)

 二回目の参加です。準産直米に取り組む仲間を連れてきました。これまでは、米を農協に出せば、それで終わりでした。今は、自分の米は農家自身が責任をもって売らなければなりません。準産直でやっていくために、努力してもっといい米を作り続けたい。ふだん顔を合わせることが少ない米屋さんとの話し合いは有意義でした。

(新聞「農民」2005.9.12付)
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2005年9月

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